ハートブレイク年内最終DAY

今年もあっという間に紅白歌合戦タイムになってしまいました。
年内最終DAYSは超忙しい中に、TVや新聞の取材と悶絶ハートブレイク事件が勃発。

大晦日の今日は、まず悶絶ハートブレイク事件を報告しようと思います。

いつも私に自然栽培を通り越して放置栽培的な農業を教えてくれる井之上さん。
農薬や化学肥料を使わない農業をかれこれ40年ほどやっていて、
台風や大雨で野菜がどんなにやられても「自然のもんやから仕方ないんや」とおおらか。
マイペンライとかケセラセラとかテゲテゲというワードがピッタシ似合う井之上さん。

かごしまんまの野菜セットにも毎週野菜を入れてくれます。
夏はゴーヤとカボチャ、冬はジャガイモと玉ねぎ、わさび菜に春菊・・・。
自然栽培の旬野菜の美味しさを教えてくれたのも井之上さん。
井之上さんはかごしまんまにとってなくてはならない人です。


草ボウボウの中をかき分けて「ほら!ここにカボチャがあるんや」と見せてくれる井之上さん

小豆計画にも大納言栽培から参加してくださっています。
大納言栽培に大失敗したときもいつもどおりおおらかで、そのマイペンライさがいつも私にとってどんなにか救いになったことか。

・・・と、前振りが長かったですが、そうです、今回の悶絶ハートブレイクな原因の一つは井之上さんです。

12月は収穫期。
井之上さんの納屋に預かってもらっていた脱穀機『まめっこ』が、1年の時を経ていよいよ大活躍のときを迎えようとしていました。
まめっこは2台。
1台は電気モーター式で、もう1台はガソリンエンジン式です。

井之上さんから「電気モーターのまめっこをちょっと動かしてみていい?」と電話がありました。
「もちろん、いいですよー使ってみてください!」

そして10分後。また井之上さんから着信が。やな予感です。
電話の向こうから井之上さんが
「まめっこのモーターが火を吹いて止まってしもた・・・」

どうして!なんで?

「200Vコンセントに挿したら、大丈夫かと思ったんやが、火を吹いた」

当たり前ですっ!!!!!!
いくらなんでもマイペンライ(鹿児島語訳:テゲテゲ)が過ぎます、井之上さんーっ!!!


盛大に火を噴かせたらしい跡が、付着したススからもわかるまめっこ

それから数日もしないある日、もう1台のエンジン式まめっこを使っていた別の生産者さんから返却したいと連絡があって、私はその到着を待っていました。

するとその生産者さんから電話が。
またまた嫌な予感がします。

「ごめん・・・。前の車が急にスピード上げたからついつられてスピード上げちゃって、気持ちよくカーブ曲がったらまめっこが落っこちちゃった・・・」

ええっ!!?

えええええっっ!!!???

えええええええーーーーっっっ!!!!!?????


軽トラの荷台から派手に落下して、ありえない方向に曲がってしまった両輪タイヤ


別の角度から見た全身ボコボコで満身創痍なまめっこ

2台しかない脱穀機まめっこが、2台とも修理屋さん行きとなってしまいました。

立て続けに脱穀機のお釈迦を報告した修理屋さんにも
「また、かごしまんまさんですかーーー」
と呆れられました。


修理に出されるまめっこ

幸いにも修理屋さんに電気モーターの在庫があったので、次の日には電気式の豆っこだけ帰還してきました。


ピカピカの電気モーターになって帰還したまめっこちゃん

ときは12月28日。既に脱穀機メーカーも年末年始に入り、見積りが取れません。
エンジン式まめっこの修理は正月明けに持ち越されました。

収穫期真っ只中なのに、脱穀機が1台しかなくなってしまいました。

小豆計画のために買った脱穀機2台が、収穫真っ只中に2台ともダメになってしまう悶絶ハートブレイクな年末。
次の日は通販事業の最終出荷日という最悪なタイミングでした。

朝っぱらから大切な植木鉢を2つも割るわ、急な納品キャンセルがあるわ、脱穀機はダメになるわで、スタッフにも「これはもう・・・お祓いに行った方がいいレベルですね」と言われる始末。

泣きたい気持ちをなんとか切り替えてやり抜くしかありません。

最終出荷分には、全員にかのや姫小豆の粒あんを小さな袋に入れてオマケとしてプレゼントすることにしていたので、それを見ると癒されて頑張れました。

最終出荷のお客さん全員にプレゼントした粒あん

かごしまんまにご注文してくださるお客さんは、ご注文と共にメッセージをくださる方が多いです。
出荷前日の夜は自宅に納品書を持ち帰り、文通のようにお返事を納品書に手書きしていきます。
最終出荷はご注文が一年で一番多く、メッセージへのお返事作業も深夜までかかります。
それは私にとってとても幸せな時間です。
たくさんのお客さんと心の通った文通を続けることで、今日までかごしまんまを続けるモチベーションを強く持ち続けることができました。
今回のメッセージの多くは「小豆計画頑張れ!応援しています!」的な内容が多く、悶絶ハートブレイクだった心が、メッセージ書きをしていくとどんどん明るい気分になるのを感じました。

そしてやや寝不足で迎えた最終出荷日。
9時からずーっと出荷作業をして17時のヤマト運輸さんの集荷時間ギリギリまで作業がかかってしまいましたが、なんとか無事に全てのご注文を集荷に載せることができました。


集荷してくださるドライバーさん

大晦日の23時45分現在。
除夜の鐘の様子をTVが映し出しています。
お客さんからもヤマト運輸さんからも何も事故の連絡がない、静かな時間を過ごせています。

無事にかごしまんまからの食材が届きましたでしょうか。
今日も皆さんの食卓と冷蔵庫が、幸せと安心でいっぱいになりますように。
同じ空の下、心から願っています。

皆さんご支援、本当にありがとうございます。
活動報告がここ数日途切れてしまい、ご心配おかけしてすみません。
阿鼻叫喚、修羅場ンバだった年末をなんとか乗り越えらたので、これからのクラファン後半戦、気合い入れ直して頑張って参ります!
どうぞ皆さん、引き続きの応援をよろしくお願いします!!!

元旦の明日は、先日のTV取材の様子をご報告させていただく予定です。
2023年もあと15分切ってしまいましたが、どうぞ良い年をお迎えください。

かごしまんま
山下理江

2023年 12月 31日 Blog | クラウドファンディング活動報告

【御礼】目標金額の50%に達しました。本当にありがとうございます!!

クラファン挑戦して15日目。
皆様の温かいご支援おひとつおひとつのおかげで、既に目標金額の53%を達成しました。

本当に、本当に、ありがとうございます。
ひとりひとりのご支援が、お気持ちが、有り難くて、尊くて、ご支援を頂くごとに涙が出てしまいます。

応援の声を頂くたびに、勇気と決意と覚悟を強固にさせて頂いております。
幸せで、かつ、このプロジェクトへの責任を痛感する毎日。
この日々を私は一生、忘れません。
心から、ありがとうございます。

綺麗で均一でしかも安いものが簡単に手に入る時代。
北海道産や中国産の小豆でいいじゃない?
なぜわざわざ九州で小豆生産を始めるの?
なぜ大変なことをやろうとしているの?
よく言われてきました。

たしかに私も最初はただ、『九州産』『安心なもの』にこだわっていただけでした。

でも色々失敗したり経験したり調べたりしていくうちに、昔から大切に繋がれてきた在来種が各地にあったこと、現在の経済や時代の大きな流れの中でその多くが消滅したり風前の灯であるということ、そしてそれが地域農業や地域経済の衰退化とリンクした大きな危機であることがわかってきました。

流通の発達とともに安くて均一な農産物が台頭し、季節問わず一年中いろいろな野菜が手に入るようになって、在来種の生産がひっそりと消えていってます。
コンビニや大手企業のチェーン店がどの地方にもくまなく進出し、24時間便利に安いものが手に入るようになって、昔ながらのお店が急速に消えていってます。

でも綺麗で均一で便利で安いものには、必ずコスト減のための理由があり、そこには農薬や遺伝子組み換え原料や添加物の知られざる実態があることを、かごしまんまという食品小売通販をやっていくなかでたくさん学んできました。

忙しい私たちには便利で安いものが必要なときもたくさんあります。
でもそればかり選び続けて、気づいた時には昔ながらの良いものがみんな消えてしまった、という世の中になっていいのでしょうか。

地域の在来種が絶えてしまうその前に、地域の良いものをつくるお店が消えてしまうその前に、なんとしても在来種小豆の生産を復活させたいです!
そしてその小さな一歩こそが、やがて他の在来種農産物の復活や地域の持続的経済の好循環にも繋がると確信しています。

どうか皆様、この挑戦にお力をお貸しください。
お近くの方に、小豆計画がしようとしていること、在来種の大切さ、持続可能な地域経済への想いを、お伝えいただけないでしょうか。

深い感謝の気持ちとともに、心からお願い申し上げます。

株式会社かごしまんま
代表取締役 山下理江

2023年 12月 26日 Blog | クラウドファンディング活動報告

12年間、探し続けてきたもの

かごしまんまは2011年12月に、九州産の安心安全な日常食材と野菜のインターネット通販として設立した会社です。
それから私はずっと12年間『九州産』に特化して、なるべく添加物や農薬をなるべく使わない日常食材と野菜を探してかごしまんまの取扱商品にし続けてきました。

『九州産』と『なるべく添加物や農薬を使わないもの』にこだわっていくと、それまで見えなかったもの浮き彫りになりました。

それは、加工品の原材料表示を見ても、消費者が知りたい情報が書かれていないこと。

例えば、化学調味料に関する表示。
化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)とは書かれず、『アミノ酸』と記載されているだけです。
知らない人は人間の身体を構成するアミノ酸と同じイメージを持ってしまいます。

例えば、遺伝子組み換え原料に関する表示。
主原料が遺伝子組み換えでないものであっても、副原料や二次原料には遺伝子組み換え由来の原料がたくさんあること。それゆえ日本は世界一の遺伝子組み換え消費大国であること。

例えば、納豆やふりかけ。
主原料が九州産の大豆や鰹節であっても、そのタレや調味料に使用する醤油を調べると、原材料である大豆のほとんどが『遺伝子組み換え不分別』つまり『遺伝子組み換えである』でした。

例えばポテトチップスなどのお菓子。
主原料が国産じゃが芋であっても、植物油の原料を調べると遺伝子組み換え作物です。

つまり、子供達が大好きな納豆のタレやふりかけやお菓子のほとんどに、遺伝子組み換え原料が使われています。

これは商品のどこにも表示されてはおらず、消費者は知ることができません。

日本では、二次原料や三次原料に使用する遺伝子組み換え原料の遺伝子組み換えであるかどうかの表示は不要で、さらになぜか醤油や油の原料が遺伝子組み換え原料であるか否かを記載しないでよい、というルールがあります。
醤油や油になると、最新の技術によっても遺伝子組み換え遺伝子が検出できないから、だそうです。

『日本では』と記載したのは、他の国々では記載の義務があるところが多いからです。
もっと言うと、諸外国では遺伝子組み換え原料に対して厳しい規制をしているところが多く、逆に日本では表示法が改定されるたびにどんどん消費者にわかりにくくしていっています。
現在では『遺伝子組み換えではない』の表示は『分別生産流通管理済み』という表示に切り替わりました。
もう何を意味しているのか、わからないですね。
そもそも二次原料は何を使っているのか表示もないのでわかりません。

しかし取引の際、メーカーに依頼すると出してくれる『商品規格書』には商品の二次原料・三次原料まで産地や遺伝子組み換え原料か否かが詳細に記載されています。
これこそ、消費者が本当に知りたい情報なのではないでしょうか。

なので一昨年前まではかごしまんまの商品ページには、メーカー協力のもと原材料表示を二次原料まで遺伝子組み換え有無の記載や産地記載をしていました。
当時は日本一原材料表示が詳しい通販と自負していました。

しかし国の表示法の度重なる改定に、それを廃止せざるを得ませんでした。

食の安全を考えると、無添加、無農薬をとことん追求することになります。
でも完全無添加食材や完全無農薬野菜だけを集めたお店づくりをすると、日常的な食材や野菜がほとんど消えてしまいます。
そして非常に高額な商品ばかりになってしまいます。

そうではなく、『完全な無添加無農薬ではないけれど、かごしまんまなら比較的安心な日常野菜や日常食材のほとんどがワンストップで揃うよね』を目指しました。


九州産原料の商品


アミノ酸不使用(化学調味料不使用)の商品の数々

野菜もなるべく農薬を使わないものを揃えます

地元中心の有機野菜の数々(鹿児島ではつくられないレンコンは佐賀産)


やごろう豚は甘みと旨みが美味しい豚肉です

全飼育期間において抗生物質・合成抗菌剤を使用していない『南国元気鶏』や、亜硝酸塩やアミノ酸(化学調味料)を使わない無塩せきウインナーを、12年かけて少しづつ商品に揃えてきました。


九州産の無添加や無塩せきのウインナー


パン類やシュトーレンは全て九州産小麦100%

輸入小麦だとグリホサートなどの残留農薬が心配なパンやシュトーレンも、『九州産小麦、九州産バター、九州産牛乳使用』のかごしまんまオリジナルパンとして鹿屋市内のパン屋さんに毎回つくってもらっています。

これは、かごしまんまシュトーレンの原材料表示です↓

10年間ずっと大人気、シュトーレンの材料。できる限り九州産原料・無添加で作り上げます

クリスマスの手作りケーキセットも10年間、変わらぬ人気です。
かごしまんまでは野菜や色々な食材と共にケーキを同梱しなければならないため、クリスマスケーキは『手作りケーキセット』として、ご自宅でケーキづくりを楽しんでいただけるように、スポンジケーキと生クリームとイチゴのセットにして販売しています。
もちろんスポンジケーキは九州産小麦でつくります。
しかも自然栽培の小麦です。


完成形のクリスマスケーキは冷蔵便だと崩れてしまって送れないため、手作りキットとして12年間販売しています

普通のスポンジケーキよりやや色が濃いのは、粗糖を使っているから。
上白糖は精製時に加工助剤を使用するので、かごしまんまのオリジナル加工品には粗糖を使用するようにしています。
生クリームがバカでかいといつも言われますが、九州産の無添加生クリームは、業務用1Lタイプしかないんです。
ケーキ作りで余った生クリームはアイスクリーム作りや冷凍ホイップにして楽しむお客さんが多いです。

他にも色々な商品がありますが、紹介しきれません。
これらを商品ラインナップにしてきた10年間でしたが、どうしても欲しいのに商品化が叶えられなかったものがありました。

それが『九州産小豆のあんぱん』でした。

調べてみると、日本国内での小豆生産は90%以上が北海道産。
九州では小豆生産が熊本や大分でごく少量しかなく、市場にはほとんど出回っていません。

パン屋さんの不動のレギュラーであるあんぱん。
子供からお年寄りまで、流行関係なく日本人に愛されるあんこ。
九州産小豆と九州産小麦のあんぱんを実現させたい。
でも九州産小豆がない。
九州産の小豆がないなら生産するしかない。
どうせやるなら農薬を使わない小豆を生産したい。
その小豆でつくるあんこも、どうせなら無添加で安心なあんこにしたい。
九州産、無添加、無農薬を目指して通販を長年運営していくなかで、強く思うようになっていきました。

その後のいきさつは、概要のとおりです。

今年はいよいよ2回目の収穫期を迎えます。
製餡所に機械類も導入し、自分の思い描く粒あんが作れるようにもなりました。

そしてずっとずっと夢だったオール九州産原料のあんぱんが、完成しました。


九州産小豆の粒あんを九州産小麦の生地で包んだ、九州産づくしのあんぱん

何回も何回もパン工房マロンさんが試作して作り上げたオリジナルあんぱん。
初めてこのあんぱんを食べた時には涙が出ました。
ただ『九州産』というだけでなく、ちゃんと『美味しい!!安心!!』という完成形にしてくださったマロンさん。

あのときの、感動は忘れません。
そして12年心待ちにしてくださっていた、かごしまんまのお客さんにもただただ感謝です。

2023年 12月 24日 Blog | クラウドファンディング活動報告

今日の生産者さん

12月は小豆の収穫期です。

収穫→脱穀(鞘に入っている小豆を取り出す作業)→水洗い→天日干し

収穫期は工程が多く、生産者さんも戸惑うことが多いので、
今日は各生産者さんのところまで行ってみました。

酒井さん。
全て無農薬栽培で野菜をつくっています。

「収穫してそこに干してあるのよ」

「あれが小豆よ。収穫して全部ここで干している。今年はコンバインで脱穀してみる。」
去年は畑でカラッカラに乾燥させてから収穫して、その時に一部の鞘がはじけたのがとても嫌だったそうで、
今年は早めの収穫をして、収穫後にカラッカラに乾燥させる戦法をとりました。


「これ、ぜーんぶ小豆よ。カラッカラになったから脱穀しようと思って」

「他の野菜も色々見てってよ!」
とにかく野菜作りが好きな酒井さん。
いつも私に畑の様子を色々見せてくれます。


「ここは水菜を植えてるの!」と言う酒井さんの後ろで蠢くのはニワトリ

「ここは先週かごしまんまに納品するはずだった水菜畑よ。インフルエンザになっちゃって全部パアよ!」

ん?

酒井さん、後ろにニワトリいないっすか?しかも全部雄鳥?
卵食べられないじゃないすか?


生後1年目くらいの雄鶏が自由に畑を歩いています

「あー、そのニワトリね、全部もらったの!正月に食べるんだよ、楽しみなのフフフ」

・・・・。

卵を食べるのではなく、そのものを食べるんですね。


とびきりな笑顔で「水菜、食べなさいね」

「出荷できなかったので大きくなっちゃったけど、鍋とかに入れて食べると美味しいのよ、持ってって!」
と水菜をたくさん頂きました。


「これは小ネギじゃなくてワケギ」


ニラ。酒井さんちの野菜は草ぼうぼう畑。

酒井さんちの畑は草が多い。
草と共存することで自然な生態系ができていて、野菜自体もたくましく濃い味になる。
酒井さんの畑、大好きです。


酒井さんちの軒下は干し大根づくりの真っ最中

他にも春菊や大和芋、にんじん、大根など色々な冬野菜を見せていただきました。
見せてくれた野菜はもちろん、台所で作っていた煮物までジップロック袋に入れてくれて、たくさんお土産にいただいて帰りました。


たくさんお土産をいただくのも田舎のあったかさ


酒井さん手作りの煮物

酒井さんがつくった煮物は美味しいだけではなく、優しくて懐かしい味がしました。

齋藤さん

齋藤さんは北海道から去年引っ越してきました

齋藤さんはもともと北海道で農業されていたので、農業機械にとても詳しいです。
「鹿屋に来て、いま何を主につくってらっしゃいますか?」
と聞いてみたところ、即答で
「ブロッコリーと小豆!」
ありがとうございます!!!


庭先で小豆の天日干し作業をやっていました。

ちょうど小豆を脱穀して水洗いして天日干し、という作業をやっているところでした。
「熊手を逆さにする使い方、これいいよ、小豆の天地返しに。他の人にも教えてあげて!」
ブロッコリーをたくさん頂きました。

樋脇さん。

「こんなおじいちゃんでいいのかい?」と照れながら撮らせてくれました

樋脇さんは、今年が初めて。
小豆を干している最中に雨が降ったらいけないと思って、ビニールハウスの中で小豆を干していました。
数日間かけてもなかなか乾かなくて苦戦していました。


昔ながらの、ゴザに小豆を広げて干していました

「天日干しだとこの時期でも1日とか2日で乾燥します。天日干しの方が早く乾くかもしれないですね」と樋脇さんにお伝えして、天日干ししてもらうことになりました。
あと小豆がかなり重なり合っているのも乾かない原因の一つだと思われました。
そこで、もう少し薄ーく伸ばして干してもらうことにしました。
どうか、小豆がカラッと乾いてくれますように。

樋脇さんからも里芋を頂きました。

井之上さんは、留守でした。
しかし小豆がゴザに敷いてありました。

井之上さんは水洗いの前にゴザに干していました

水洗いしたら取れるはずの大きなゴミがたくさんあるので、これから洗うのかな?というところでしょうか。
とりあえず写真だけ撮りました

生産者さんのところに行くと、たくさん野菜をもらって帰ることは日常です。
田舎のこんなあったかさが、私は大好きです。

2023年 12月 23日 Blog | クラウドファンディング活動報告

火曜日は製餡DAY

火曜日は製餡してます。
四六時中ゴーッという音の中で作業しているので、気がつけばスマホの着信履歴が鬼です。

そんな火曜日はみんなで楽しみにしているものがあります。
それは小豆汁。・・・・もちろんあんこの味見もです(^^)

今日の様子でご紹介した自動豆煮機の『ニュー豆煮くん』。
彼がけたたましいほどの爆音で、ブーッ!!!!!と豆が煮上がったことをお知らせしたら、
農家メシならぬ製餡メシ、いや製餡スープです。


ニュー豆煮くんが、いい煮豆といい煮汁をつくってくれます

これがまたお昼どきなので、みんな味覚が研ぎ澄まされているので、細かい味もよくわかります。
塩味(えんみ)があって、豆の濃い風味と旨味が、熱々の喉越しで滑るように胃に流れ込み、瞬時に全身をポカポカさせてしまう、神様からの優しいギフトです。

近年の研究で、この小豆の煮汁にとても栄養があることがわかってきました。
水溶性食物繊維やミネラルが豊富で、特に小豆ポリフェノールは人において食後の血糖値の上昇抑制効果があることがわかりました。

参考) 国立研究開発法人農研機構 小豆ポリフェノールの生理調節機能とその変動要因より

小豆計画では、粒あんにも小豆の栄養成分やミネラルをできるだけ残したいので、渋きりは1回のみ。
沸騰したらすぐに煮汁を捨てるだけの軽ーい渋きりです。
それなのにこの煮汁からは渋みやアクを感じません。

かのや姫小豆は濃い味わいなのに渋みがあまりないのが特徴なようです。
知れば知るほど、この小豆の魅力にハマっています。

製餡スープ後の、製餡所の様子↓

右側の銅釜は餡を練っています。左奥にいるスタッフは何をしているのでしょうか

↓↓↓↓↓
奥のスタッフをズームイン。

小豆の選別作業でした。

月曜日がまた雨で小豆の選別が全くはかどらなかったので、餡練り機を見守りながら隅っこで選別作業もしているのでした。
小豆の選別作業は、暗い色なので選別機のカメラの眼も正確なところまでは選別できず、雨の日には人間の目も見えずらくなり、時間がかかります。

この選別作業の効率化が、小豆計画の喫緊の課題であります。

2023年 12月 20日 Blog | クラウドファンディング活動報告

ここくさん

クラファン挑戦直前の11月にあった『オーガニックフェスタかごしま』。
『おおすみ百姓の森』の一員として私は出店していました。

休憩時間にぐるっと会場内を見て回っていたときふと、『ここく』さんのブースに目が止まりました。
在来種の極小な大豆や麦を自然栽培でつくってそれを味噌などの加工品にしている、との説明を受けました。

「私も在来種の小豆の復活生産して粒あんつくってます!」と私が言うと、
店主の加藤さんはとても嬉しそうに「大変ですよねー、でもすごくいいですね!」と言ってくれました。

嬉しくて話し込んでいるうちに「実はクラファンに来月から挑戦するんです、不安で・・・」と気持ちを打ち明けたところ、加藤さんから驚きの返答が!!
「実はちょうど去年の12月、僕もクラファン挑戦しました」
えっ!?本当に?!どこで?いくら?
矢継ぎ早に質問してしまいました。

なんとレディーフォーでプロジェクト名『先人からの贈り物、古代からの貴重な大豆をこどもたちへ』で1,000万円のコンバインを買う挑戦をして見事達成したとのことでした。
https://readyfor.jp/projects/53490

「めちゃくちゃ大変ですが、絶対に達成できますよ。頑張って!!」と加藤さん。
私は瞬間、涙腺が緩んでしまいましたがキュッと締め直し、頑張って笑顔をつくって握手してもらい、元気と勇気をいただいて帰りました。

後日、加藤さんのプロジェクト概要とその活動報告の全てを読んでみました。
プロジェクトの内容と加藤さんのたどった歴史が、自分のしてきたことといくつも共通点があって、でも自分なんかよりずっと加藤さんは大変なことをしてきていて、それはそれは壮絶な日々なのでした。
自分のちっぽけさと俗物さに、ガーンと石で殴られたような気持ちになりました。

ここまでの覚悟が私にあっただろうか。
もっともっと、自分がしてきたことをわかりやすく伝わるようなプロジェクト概要にしなければいけない。
自分のプロジェクト概要のつくり込みがほぼ完成だったのですが、レディーフォーの担当さんにお願いして、公開日を遅らせて、大幅に変更修正しなおしました。

そして、近いうちここくさんを訪ねてみよう、と心に固く誓っていました。
とはいえうちも一年で一番忙しい12月。
なかなか行けない日々が続き、やっと今日実現できる!と思い、加藤さんに連絡したら「僕は今日は延岡です」とのお返事。

でもやっぱり行ってみたい。

リスペクトしている加藤さんに会えなくても、ここくのある土地や空気、そしてお店の商品やスタッフのお話、色々感じてなにか学んできたい、と思って行くことにしました。

ここ鹿児島県鹿屋市から、ここくさんのある宮崎県清武町まで車で片道3時間弱。
もうすぐ到着するというナビ、広がる風景はこんな感じでした。


昔から佇むような橋と緩やかに流れる川、遠くに見える山々


昔からあるような道路の両側に古い家が立ち並ぶ小さな集落に、ここくさんはありました

出迎えてくれた笑顔の素敵な女性に「小豆計画の山下です」と言うと、「ああ!!」と言って奥に向かって「あの小さい小豆の人が来たよ!」と叫んで、もう一人の女性を呼んでくださいました。オーガニックフェスタかごしまで加藤さんと一緒に店頭にいた女性でした。

お二人とも、笑顔が本当に素敵

とても素敵なお二人の笑顔だったので、この瞬間を写真で切り取って記録に残したいと思いました。
会ってすぐなのに、写真撮影をお願いしてしまいました。
お仕事を誇りに思って楽しんでいる、それが滲み出るような素敵な笑顔でした。


想いのこもった商品がたくさん

狭いながらもセンスある店内。さすがです。
(加藤さんはデザイナーでもあります)

たくさんお話を伺いました。


味噌づくり中でした

厨房も素敵な空間で、昔ながらの道具類を大切に飾ってあり、羨ましくなりました。

たくさんお話を聞かせていただきました。
抱えるご苦労や手繰り寄せられるご縁にも、たくさん共感しました。
大豆や麦の脱穀や選別もやはりとても大変だということ。
近所に船を持っている人がいた縁で、その船に乗って黒潮の流れる沖まで海水を汲みに行ってそれで塩をつくることまで可能になったこと。塩づくりに近所の方が携わってくれていること。
近所に創業80年の醸造所があった縁で、麹もつくることができたこと。
でも今年の秋まで雨が多かったために塩がたくさんつくれず、そのため味噌づくりにも影響が出てしまったこと。

その土地に昔から繋がれてきた在来種の種を分けていただき、その土地で自然栽培して収穫し、選別し、地元の人々との運命的な縁があって、協力があって、味噌や塩や醤油などの加工品になっていくその過程。

本当に素敵です。

加藤さんがここまでこだわって塩までつくるのなら、私も自分でサトウキビ生産からの粗糖作りを真剣に考えないといけないな、とも思ってしまいました。

この次は加藤さんのいらっしゃるときにまたきますね、と約束して気になる商品を全て買って帰りました。


ここくさんの商品は、どれも愛が滲み出ています。

買ってきた商品を改めて自宅で並べて見てみました。
ものの作り手がデザイナー自身だと、こんなにも作り手が伝えたいことが商品から滲み出てくるものなのか、とまざまざと実感させられました。

そしてちょっと舐めてみた塩にびっくりしました。


まるで雪のような、ここくさんの塩『沖の潮』

なんとこれまで食べてきたどの塩よりも、甘かったのです。
塩が甘い?びっくりして何度も舐めました。
こんなに柔らかくて甘くて、澄んだ旨みのある味わいの塩は初めての経験です。
あまりに美味しいので、何回も何回も舐めていました。
今も舐めながらこれを書いています。
何度舐めても甘みのある塩でした。

黒潮の流れる沖まで汲みに行った海水からつくった塩は、格別な味わいの特別な塩なのでした。

たくさんの学びと刺激を頂いた、ここくさん訪問でした。
ここくの皆さん、ありがとうございます。

2023年 12月 18日 Blog | クラウドファンディング活動報告

地元の食材通販なのに、地元に貢献できないジレンマ

2011年に千葉から移住して立ち上げた、九州野菜食材通販かごしまんま。
当初は「地元鹿屋市の野菜食材を中心に、添加物を使用しない商品ラインナップにしよう!」と決めて、地元にたくさん貢献しようと商品を探しました。
(※鹿屋市は「かのやし」と読みます)

ところがすぐにそれは困難な道のりであることに気がつきました。

その理由は、鹿児島のソウルフードである甘い醤油。

鹿児島では伝統的に甘味料が入った甘い醤油を日常的に使用しています。
煮物、焼き物、豆腐や刺身、食卓にある醤油、ありとあらゆるものに甘醤油が使われています。
なので地元で販売されている加工品の大半にこの甘醤油が入っています。
しかしこの甘醤油の甘味料が、ほぼ全てサッカリンなどの人工甘味料。

甘醤油が鹿児島のソウルフードなのは、南国の気候を考えると理解できます。
しかしどうして砂糖ではなく、サッカリンを使用するのでしょうか。

醤油製造業の知人に聞いたところ、砂糖はサトウキビという植物から精製されるので、圃場や作付け年度や時期など色々な要因で糖度やミネラルが変化します。それが醤油作りの場では「安定していない」ということになり、砂糖が敬遠されてしまうのがひとつ。人工甘味料なら常に一定なので甘醤油づくりが安定します。
もうひとつの原因は、サッカリンの甘みが砂糖の1万倍であるということ。
つまりサッカリン1滴で砂糖10kg分ということになり、それだけで原材料費が大幅に違ってくるのです。

移住者である私が鹿児島の伝統的なソウルフードに対して「人工甘味料ではなく普通の砂糖が入っている甘醤油に変えていきませんか」とは言えません。
甘醤油は、鹿児島そのものの味で、鹿児島に生まれ育ってきた人々の故郷の味なのです。

かごしまんまに加工食材を紹介してくださる方や持ち込んで来られる方も時折いらっしゃいます。
しかし試食すると甘醤油特有の人工甘味料の甘さが舌にチリッと残ります。
そうすると申し訳ない思いでいっぱいになりながらお断りしなければなりません。
そういうことが続くうち、かごしまんまの加工食材のほとんどが地元ではなく九州各地のものとなっていきました。
本当はもっと地元に貢献したいのに、といつも思いながら。


『杉樽仕込み本醸造醤油』の杉樽

これは、出水市の醸造所の杉樽です。いわゆる『杉樽仕込み醤油』の杉樽です。確か高さが5mありました。
鹿児島県内で唯一、甘くない醤油を作っていたこのメーカーさんから本醸造醤油を仕入れていましたが、数年前に高齢化と人材不足のためやむなく醤油づくりをやめられました。
最後のロットでは、ラベルが不足して商品として出せないものも含めてかごしまんまでたくさん買取りし、製造終了を惜しみました。

現在かごしまんまでは、大分の醤油メーカーさんから甘くない醤油を仕入れて販売しています。

そういう10年を経てきたので、どうしても鹿屋に貢献していきたいという想いを込めて、名もなかったこの地小豆を『かのや姫小豆』と名付けました。

2023年 12月 17日 Blog | クラウドファンディング活動報告

12月はずっと『年末の』出荷日

食品小売業にとって12月が1年で一番忙しい月であるということを忘れていました。
まさにその12月にクラファンを始めていました。

金曜日の今日は出荷日。
普段の1.5倍の注文数。そのひとつひとつの注文量も普段の1.5倍になるのが師走。
そしてそれをひとつひとつ目的地まで運ぶ配送業者さんたちの物流量も既にパンク寸前だとか。
最終集荷に来た宅配便のドライバーさんの目も死んでました。

加えてクラファンへの並々ならぬ緊張。
スタッフにいつも以上に負担をかけてしまいました。
反省。


今日の出荷作業。プレハブ冷蔵庫内に作業室があるので1年中寒いし薄暗い。

通販サイト『かごしまんま』には野菜セットをはじめパンや卵や豆腐や納豆、お肉、昆布、ワカメ、お茶、調味料、米まであらゆる九州産食材を選べてひとつの段ボールに15kgまで冷蔵便で送ることができます。
野菜セットと色々な食材をなんとか工夫して、壊れないように傷まないようにひとつの段ボールに詰め込む作業は、熟練の技が必要です。


野菜セットだけでダンボール体積の半分くらいを占める。

↑この野菜セットに、↓この色々な食材を詰め込んで1箱に丁寧に詰め込んでいきます。

ご注文内容の一例。野菜セットが入る段ボールに同梱して、1箱に納めないといけない

卵や割れやすいものには、クッション材を使います。肉類や乾麺など重くて壊れにくいのは最下部へ。
潰れやすいパン類や豆腐や葉物野菜は最上部へ入れます。
数も間違えないように、大変神経を使います。
一般的なお店というのは、傷みを発見したら気軽に返品しに行けます。
ところがインターネット通販はお客さんとの実際の距離が遠すぎるため、それができません。
間違えたらそのつど送料をかけて、野菜や商品を交換することになるので経費がかさみます。
なので出荷作業というのは、大変神経を使う作業です。

12月はその他の仕事も非常に大変で、夕方からようやく事務作業。
今日はなかなか帰れないのではないかと心配したほどでした。

今日は早く寝ることにします。

山下理江

2023年 12月 15日 Blog | クラウドファンディング活動報告

かごしまんまを立ち上げたきっかけ

2011年3月11日。
私は勤務していた千葉県内の小さな建築会社で、あの大きな揺れを経験しました。

当時、勤務していたその会社にはなぜか世界一バカでかいメインクーンという猫が2匹いて、ちょうど机に図面とその猫を広げていたところでした。
大きな揺れにビックリすっ飛んでいった猫と図面に代わって、あらゆる書類ファイルや分厚い本たちが机と床に雪崩れ込んで机の上に積み重なる光景に、ただただ呆然としました。
すぐに保育園に子供達を迎えに行くと、園の全員の子供達が防災頭巾を被って送迎バスの中で待機していました。
あちこちで電柱や塀が倒れ、信号機は停電し、電車も止まってました。
ガソリンスタンドには数キロの行列。
東京から延々と歩いて帰ってくる人。
千葉の郊外タウンはあらゆる機能を停止させていました。

ほどなくして原発事故が起こり、スーパーやホームセンターから食料や水やトイレットペーパーなどの日常生活用品が消えていきました。
市から「乳幼児には水道水を与えるのを控えましょう」的なお知らせがきたり、小松菜やほうれん草や椎茸の出荷制限が出たり。
調べれば調べるほど心配になることばかり。当時は情報もニュースも錯綜していました。
雨も土も食料も水も何もかも怖くなってしまいました。

そんななかで両親から毎週のように送られてきた季節の野菜と食材と牛乳。
段ボールいっぱいに詰められていました。
父が東京消防庁を定年退職した2006年、両親は千葉から父の故郷である鹿児島へとUターン移住して、家庭菜園や魚釣りで老後ライフをエンジョイしていました。
届いた段ボールを開封するたびに、涙が溢れ出ました。

経験したことのない状況下で悶々と過ごしていた矢先。
鹿児島に住む両親から、1本の電話がかかってきました。
「健康診断でね、お父さん膵臓癌なんだって。色々転移しているんだって。」
その後の会話はもう何も覚えていません。
電話の後、大泣きしたのは覚えています。

母は埼玉の出身で関東育ち。全く鹿児島では土地勘がありません。
しかも身体上の理由で車の運転免許を持っていません。
電車のない鹿児島の大隅半島で、母が一人で余命わずかな父の看病をしながら暮らしていくのは、明らかに困難でした。


電車はないが、フェリーはある鹿児島。桜島フェリーは噴火時の防災を兼ねて24時間15分おきに運行している。

とはいえ、私も千葉生まれ千葉育ち。
建築士と宅建の資格をとって、やっとなんだか安定してきたところに大地震。
田舎ではそんな資格は役に立たないだろうこと、そして仕事を見つけることは難しいだろうことは容易に想像できます。

鹿児島で、私に何ができる?
何をすれば、やがて来る父の死を乗り越えられる?

変わらず毎週のように届く食材と野菜。
ふと、思いました。
『私と同じ気持ちや不安を持つ人に、鹿児島から野菜や食材を届ける仕事をしよう!』

2011年12月。鹿児島へ移住し、株式会社かごしまんまを設立しました。
お金を全く持ってなくて、登記しただけで資金ゼロになりました。
最初は一人で全部やることにしたので、HPを自分で作り込んでいたのでは、取引先の獲得や営業ができません。
そこでパワーポイントで会社案内と経営計画をつくって印刷し、鹿児島銀行の窓口に持ち込みました。
2011年当時の鹿児島の大隅半島ではパソコンが普及しておらずスマホもない時代。インターネット上で注文を受けてそれを宅配便で送るシステムは、農家の皆さんはじめ、銀行の担当者までがあまりピンときていない様子で、実店舗を持たないネット上のお店を説明するのにはとても苦労しました。
それでもなんとか融資を受けることができ、通販サイトを開設し、2012年3月に最初の野菜セットを発送することができました。
記念すべき最初の出荷は5セット。
この5セットを見届けて父はまもなく歩けなくなり、2012年4月に他界しました。

当時はツイッターでお知らせして、それを見てくださった方々が拡散してくれて、だんだんと注文が多くなって自分一人ではできなくなってきました。
そこで東京から同じ時期に移住してきたみきちゃんが仕事を手伝ってくれるようになりました。


地元の農家さんから仕入れる野菜をセットにして出荷前日につくっていきます。


2013年当時の実際のご注文。野菜セット以外にも色々商品を取り扱ってきました。

ここ鹿児島の野菜はワイルドな大きさで虫の穴もたくさんあるばかりか、虫本体やカタツムリまでくっついていたりもします。
たしかにそれはあまり気持ちの良いものではありません。
でもちゃんと考えれば、それは農薬があまりかけられていない証拠。

また南国鹿児島では、夏にはキャベツやニンジンや玉ねぎや大根が姿を消します。
でもちゃんと考えれば、冬野菜が夏に消えるのは自然界にとって当たり前のこと。

当時の関東のスーパーの野菜は皆キレイで同じ大きさのものばかり。
いつも季節問わず全ての野菜が揃っていました。
なので夏場になると、お客さんからよく九州産のキャベツや大根が欲しいとリクエストされました。

・・・無理だっつーの!!という言葉はいったん胸にしまって。

野菜セットや食材には毎回、【かごしまんまだより】を同封してそこに、虫がいる理由やキャベツが夏に消える理由、夏場はずっとゴーヤばかり続く理由などをテーマに書いていきました。

すると最初は虫が野菜の間から出てきてお怒りになっていたお客さんも、年々少なくなっていき、逆に「野菜についていた青虫を育てて蝶にしました!」なんて報告をお客さんから頂くようになりました。

かごしまんまだよりには、食の安全に関することを毎回テーマにして書いてきました。
添加物や農薬のことを書いたり、水俣の資料館や星塚敬愛園を訪問してレポートを書いたり、中医学では季節の野菜こそがお薬になること(薬食同源ですね)を書いたり、色々な情報やテーマを中心に書いて、野菜セットに同封してきました。

「今までのものを全てファイルにしてとってあります」なんていうお客さんも多いかごしまんまだより。

そんなかごしまんまだよりも今月と来月だけは、このクラファンのことを情熱を持って書かせていただこうと思います。
かごしまんまユーザーの皆さん、どうかお許しを・・・。

山下理江

2023年 12月 15日 Blog | クラウドファンディング活動報告

『種は地域のみんなのもの』

地域の在来種での農業を復活させたい仲間が集まって、今秋に誕生した『おおすみ百姓の森』。
私もそのメンバーで、毎週水曜日に集まって色々活動しています。

今週は私が「『モンサントの不思議な食べもの』というドキュメンタリー映画を観よう!」と鼻息荒げて呼びかけました。
ただ延々と世界におけるモ社の歴史を追っていくだけの103分間。
仲間の家のリビングで観ました。
事実に基づく現地への取材。遺伝子組み換え植物を導入した国々の、農家を追います。
なかでも、インドの在来種綿農家の多くがBT綿に切り替えたところ借金が増えて綿農家の自殺者が多発した、という場面は一番辛いです。
BT綿とは遺伝子組み換え技術によって殺虫剤耐性を持つ綿をつくって特許取得された綿のこと。
特許取得されているので、綿農家は種子の自家採取できず、毎年借金をしてBT綿の種子を購入し続けなければなりません。収穫して売れた綿のお金で借金返済に充てるため、不作になれば自殺する人が増加するのです。
それだけではなくBT綿はどんどん変化していき、病気になりやすく殺虫剤にも弱くなっていきました。
数年後、インドでは農家によるBT綿反対運動が起きました。

この映画は2008年のフランス映画ですが、種子法廃止や種苗法・食品表示法改定が続く国に住む日本人にこそぜひ観てもらいたい映画です。
私の今のモチベーションの源は『沈黙の春』『母は枯葉剤を浴びた』『種が危ない』の3冊。
そしてこの映画です。

種は、その地域のみんなのものです。
種は、その地域で繋いでいくことに意味があります。
地域で昔から繋がれてきた種には、農薬も化学肥料もいりません。

今週は映画を観てもらうという、小さな啓蒙活動ができて幸せでした。
そして映画の余韻冷めやらぬその5人に【クラファンお願いします!】のチラシもしっかり渡せた私でした。


焦らず、一歩一歩やっていこうと思います。

山下理江

2023年 12月 14日 Blog | クラウドファンディング活動報告