【あと1日!】地小豆生産の原点・肝付町の山あいの農家さんに粒あんを届ける

概要の冒頭でご紹介した肝付町の山あいの農家さんたちに、今の活動を報告しに行ってきました。
今日つくったばかりの粒あんと小豆計画のフライヤーを持って。

あのおばあちゃんたちに会うのは2019年以来。
その後の私が小豆生産を復活させるために生産者さんを集めたり製餡所を建てたりクラファン挑戦していることは、もちろんおばあちゃんたちが知る由もありません。

肝付町川上地区へ。

軽く秘境です。

携帯電話の電波も届かなくなっていきます。
秘境へとフルスロットルです。


棚田も広がります。


山と水が豊かな地域

川上地区で唯一のお店、やまびこ館。
その農家さんの小豆に初めて出会ったのが、ここでした。
お店の人が農家さんに繋いでくださったんです。

今日は月曜日で定休日でした。

その向かいにある肝付町立川上中学校は1949年建立の木造校舎で、国の登録有形文化財です。
2012年から生徒が通うことはなくなり、廃校となりました。


廃校となった肝付町立川上中学校は、戦後すぐの建立で国の登録有形文化財でもあります。

そこを抜けて数km行くと、農家さんの家があります。

毎年、小豆を取りに来た農家さんち。なーんにも変わっちゃいません。

「こんにちわー!!すみませーん!!」
何回か大声で叫ぶと、おばあちゃんが出てきました。

「お元気でしたか!会いたかったです!
 おばあちゃんが小豆つくれなくなってから、
 鹿屋で小豆生産チームを立ち上げて、
 製餡所建ててあんこ作ったんです!
 おばあちゃんが原点なんです。
 おばあちゃんが小豆をつくってくれていたからこそ、
 それを繋いで、あんこをつくっていくことになりました。
 今日はそのあんこを持ってきました。食べてください!」

私は矢継ぎ早におばあちゃんに報告しました。
最後は泣きながら言ってしまい、おばあちゃんももらい泣きしていました。


おばあちゃんと再会して報告してあんこを届けることができて、泣きながら撮った写真

既に夕方。日が暮れると真っ暗になってしまうので、もう1軒の農家さんには、おばあちゃんが粒あんを届けてくれることになりました。

しかし帰り道の途中で電話が鳴りました。そのもう1軒の農家さんからでした。

「あんこ本当にありがとうね!!!
ところで小豆があるんだけど、いらんけー?」

なんと、もう1軒の農家さんはまだ小豆をつくって繋いでいたのでした。
もちろん引き返しましたよ!!


引き返してもう1軒の農家さんに到着すると、小豆を出して待っていてくれました。


たくさんの小豆が!!

変わらず小豆があって、あの頃に戻ったかのような感覚に陥りました。
でもあの頃の自分とは全く違う目で、全く違う気持ちで、小豆を見ました。

あの頃は、ただキレイになった小豆を仕入れに行っただけ。
でも自分自身が数年間、小豆生産と製餡にたずさわってから見た小豆は、それはそれは尊くキラキラしていたのでした。

農家のおじいちゃんおばあちゃんともそれをたくさん話しました。
「自分がやってみて初めて、小豆がどんなに大変かわかりました。
 毎年毎年本当にありがとうございました!」
「だよねー。小豆は栽培も大変だけど、収穫してからがまた大変っちゃもんねー!」
「はい、これからも小豆を繋いでいきますね」

しかし分けていただいた小豆をよく見ると、かのや姫小豆と違って、今回の小豆はなんだか粒が少し大きく色が薄い感じです。違う品種のようでした。
でもこれもまた昔からずっと繋いできた小豆とのこと。
タネの大切さをもうたくさん知っている私は、この小豆もまた大切に繋ぐべきものだとわかります。


よく見ると、鹿屋の小豆とちょっと違い、薄い色で大粒な小豆


おじいちゃんおばあちゃんと記念写真

私が持っているビニール袋は、収穫したばかりの椎茸。
「さっき取った椎茸、持ってかんね?」とたくさんお土産にくださいました。


袋の中身はたくさんの採れたて椎茸

山奥では基本、なんでも自給自足。
鹿児島では、自家用に雑木林の中で椎茸を原木栽培している人が多いです。
これが本当にごちそうなんです。

そして、漂う薪の香り。
なんとこのおじいちゃんちは、お風呂が昔ながらの薪で炊く五右衛門風呂。
夕方なので、薪を炊いてお風呂を沸かしていたのでした。


赤く見えるのが薪を燃やしているところ。この壁の向こう、薪の上あたりにお風呂の釜があってその中のお湯を沸かしている。


左側が五右衛門風呂、右側が薪をくべて炊く釜


五右衛門風呂のアップ。歴史館の展示ではなく、まさに今日も明日も現役で使われるお風呂。


久しぶりに会えて、小豆の話をたくさんして、とても嬉しそうなおばあちゃん


家の敷地内も軽く高低差があって、なんだか楽しい。昔懐かしき良い時間が流れる土地、川上地区。

帰宅する頃にはすっかり暗くなってしまったけれど、とても幸せな時間でした。


街灯もあまりないので日が暮れるとホント真っ暗な、ここ鹿屋市。

山あいの自給自足が普通な地域だからこそ、まだまだタネという人類の宝物がたくさん繋がれている土地、肝付町川上地区。

大切なものをまた知ることができたような、そんな時間でした。

2024年 1月 30日 Blog | クラウドファンディング活動報告

【あと2日!!】タネの危機

「・・・・生きものは生まれてから死ぬまで
 自分ひとりだけの世界で生きているのではない
 ほかの生きものと どうしても つきあっていかなければ
 生きていけないのだ 生まれてから死ぬまで
ずうっとじゃ
 花でも木でも虫でも魚でも みんなそれぞれ
 どこかで結ばれ合って 生きておる・・・・
 この『縁』は世界がつづくかぎり 切れないのだ」
 手塚治虫【ブッダ第4巻】より

このクラファン挑戦も残すところあと2日となりました。
皆さんのたくさんの応援があって、ここまで来ることができました。
本当にありがとうございます!!

そこでどうしてもこのプロジェクトを応援してくださっている皆さんにお伝えしたいことがあって、でもなかなか難しくて書けなかったことを、後悔しないように、やっぱりここに書こうと思います。

難しい話ですが、なるべくやさしく書きました。
世界の、特に日本にいま差し迫っている危機のことなので、読んでいただければ幸いです。


タネについて詳しい記載がある書籍

今、世界中でタネが危機に瀕しているのをご存知でしょうか。
既に20世紀中に、農産物の種子の94%が消滅してしまったと言われています。
世界の種子市場を多国籍企業や大手種苗企業が独占しつつあるからです。
遺伝子組み換え種子やF1種子がこれらの企業に開発され始めてから、地球上の野菜のタネは絶滅の危機に瀕しています。

遺伝子組み換え種子は、グリホサートという成分が入った強力な枯葉剤にも枯れないように遺伝子を組み替えられた農産物の種子です。枯れないので栽培期間中たくさん枯葉剤をかけられ、収穫しやすいように収穫直前にもかけられます。ただし契約で生産者は種子を自家採取することを禁じられるので毎年タネを買い続けなければなりません(日本ではまだ商業的栽培は認可されていません)。

F1種子は性質が均一で優秀な野菜になるように改良された種子です。
しかしおしべが雄性不稔という奇形で、生産者は種子の自家採取ができないので、遺伝子組み換え種子と同様に毎年タネを買い続けねばなりません。
今やタネを支配すれば食を支配できる、とも言われています。
多国籍企業は、世界中の食の支配を確実に狙ってきています。

日本では、ほんの40年ほど前まで野菜の種子は国産100%伝統的な固定種でした。
しかしF1品種が出ると、あっという間に広まりました。
大きさや形や性質がバラバラに現れて育つ固定種(在来種)よりも、大きさや形や性質が均一に現れるF1種のほうが生産者にとってロスが少なく作業も軽減されて市場で売れやすいからです。
今では日本の野菜の大半がF1品種になってしまいました。
その90%がアメリカ、南米、インド、アフリカなど海外で生産された多国籍企業の種子です。
イチゴやメロンなど農産物によっては、種子の価格が1粒1円や2円だったものが今では1粒40円や50円と、およそ10倍の価格になってしまったものもたくさんあります。

いま世界中で何が起こっているかというと、遺伝子組み換え種子やF1種に頼るようになってしまった生産者が固定種の種を自家採取して繋ぐのをやめてしまったため、昔から繋がれてきた農産物の種子の9割以上が絶滅しかかっているということです。
そして遺伝子組み換え種子やF1種子がどんどん値上げされても、生産者はそれと農薬をセットで買い続けるしかない状況に追い込まれてしまった、という恐ろしい現実です。

これがどんなにヤバいことか、わかりますでしょうか。

2つの切迫した危機があります。
1点目はこのまま種子や農薬や化学肥料などの農業資材機材が高騰し続けると、離農が加速し食糧自給率がさらに低下して、私達は輸入野菜や果物しか食べられなくなること。
2点目は、日本の野菜の大半がF1でその種子の9割以上が外国産で食糧自給率も低いという状況は、世界情勢によっては日本に種子も輸入農産物も入らなくなって即国民が飢える状況に陥ることがあり得るということです。

日本でも戦前の農業は、ほぼ無農薬無化学肥料栽培でした。
生産者は地域の畜産業や農業から出たものから堆肥をつくっていました。
その年に栽培したものから翌年の分の種子を採取し、生産者同士でより良い種子を交換したりしました。
地域には地域のための種子屋も各地にあり、持続的な農業がされてきました。

第2次世界大戦後、急速に農薬や化学肥料を使用する農業が広まりました。
農薬や化学肥料は、戦争に使われた化学兵器を応用させたものだったからです。
『農業の近代化』というスローガンのもと、環境や健康は無視されてどんどん広まっていきました。
戦争が終わるたびに兵器は農業用に開発転用されてあっという間に席巻していきました。
グリホサートも、ベトナム戦争で使用されたあの悪名高き枯葉剤を応用したものです。
世界中のCMで『環境や人体に優しい』と虚偽を流し、農民の健康被害の訴訟で負け続けながら、まだ日本のホームセンターで『ラウンドアップ』という名で販売されているものです。
遺伝子組み換え植物もF1種子も性質が均一故に、農薬や化学肥料とセットで使わざるを得ません。

今では、日本の耕作面積における有機農業取組面積の割合はわずか0.2%となってしまいました。

人類は、自然のもたらす災害や他の生き物と戦いながら農業を営んできました。
20世紀に入ってからは化学の力で種子や野菜の状況をコントロールして、農業から他の生き物を排除する動きが顕著になってきました。

でも植物は、微生物によって強く生かされ、虫や鳥によって受粉をしてもらい、人や動物に食べてもらって自然界のサイクルの中の生命を全うするのが本来の姿です。
そうやって、その土地の色々な状況や環境や病気に生き残る個体や死にゆく個体とがあって、どのような環境変化や病原菌に対しても必ず何割かが生き残っていき、様々な性質や形状を持って太古の昔から繋がれてきたのが固定種(在来種)です。

いっぽうでF1や遺伝子組み換え種子は同一の性質や形状を表すように改良されたものですから、何かの環境原因や病気でダメになるときは一気に全滅してしまいます。
農薬や化学肥料を多用したりハウス栽培等で季節を無視したりする農業は、エネルギーも使い、環境に負荷をかけ、地球温暖化の一因になります。
世界中からミツバチがどんどん消えていってます。野菜以外の植物の受粉にも影響が出るのは必至で、生態系バランスが静かに崩れていきます。

このまま遺伝子組み換え植物とF1種子だけの農業で自然を破壊し、世界中の固定種の野菜のタネを消滅させてしまうことは、人類の最大の失敗になることでしょう。
いま、世界中でそう気づく人が増えています。

EUをはじめ中国もロシアも遺伝子組み換え食品はつくらない、という動きになりつつあります。
世界中が食料自給率のUPに力を入れています。
なのに日本は多国籍企業や大企業の意向を汲むかのように、種子法廃止や種苗法や食品表示法改定(改悪)の流れを止めません。酪農家が窮状を訴えたニュースが記憶に新しいように、国が農家を守ろうという動きもないに等しいです。

種子法廃止や種苗法や食品表示法の改悪は、全てセットの問題です。
超簡単に言うと、遺伝子組み換え添加物をもっと日本国民に食べさせちゃおう、という目的を持って法律を変えようとしているのです。陰謀論でもなんでもありません。
多国籍企業が他の国で何度もトライアンドエラーしてきて、今度は日本を狙っているというだけのことです。
他の国では日本と同じように法律を改定しては国民の大反対に遭い、撤回されていっています。
私達日本国民もこの問題をもっと知り、立ち上がって反対しないと取り返しのつかない状況に今あります。
既に多くの自治体が危機感を抱き、種子法に代わる条例を制定して地域の農業を守ろうとしています。

「でもこんどこそ」と火の鳥は思う。
「こんどこそ信じたい」
「こんどの人間こそ きっとどこかで まちがいに気がついて・・・・」
「生命を正しく 使ってくれるように なるだろう」
手塚治虫【火の鳥『未来編』】より (タネが危ない 野口勲著より抜粋)


『タネは皆んなのもの!』山田正彦氏直筆

「タネは命である。
 タネは私たち1万年の人類の命をつないでくれた人類の遺産である(1983年FAO決議)
 タネは誰のものでもない。みんなのもので大切にしなければならない。」
【タネはどうなる!?】山田正彦著より抜粋

【鹿児島の次小豆を復活させて、地元農業とスイーツを盛り上げたい!】
このクラファン挑戦はあと2日で終了します。
しかし皆さんおひとりおひとりのチカラのおかげで、小豆計画の挑戦はまだまだ続けることができます!
どんなに感謝してもしきれません。
固定種のタネを復活生産するこの小さな挑戦を、この先もどうぞ見守っていてください。
それが一番のチカラです。

いよいよあと2日。
最後までどうぞお力添えをお願いいたします!!

2024年 1月 29日 Blog | クラウドファンディング活動報告

【残りあと5日!】通販部の出荷作業

いつも見守って応援してくださって、本当にありがとうございます。
いよいよクラファンも残すところ5日(ほぼ4日)になりました。

木曜日。
かごしまんまスタッフ全員がずっと消息不明だったのは、野菜にまみれてプレファブ冷蔵庫の中にこもりっきりだったから。

1つ1つの段ボールに野菜セットを組んで入れていきます

お正月休みを挟んだので隔週定期便や月イチ定期便が今週に集中してしまって、出荷量がとんでもないことに!
(とは言っても小さな通販サイトなので、そんなたいした量ではないんですが。。。)

そういう時に限って、無農薬の荒ぶった育ちの超自然体な青梗菜が納入されたのでさあ大変!
規格外の外の外の姿カタチ、虫喰い、折れ曲がり、キズだらけの天使たち、、、、。

ヤア!ヤア!ヤア!農薬や化学肥料を使わないワイルド青梗菜がやってきた

なるべくそのままを尊重したいのですが、配送中に傷んだり腐ったりしないようにしなければなりません。
その作業が果てしない。。。。


青梗菜の選別と袋詰めが難航した

またそういう時に限って、ありがたいことに大きくて人気のある野菜ばかり集まって納入されてきます。
ブロッコリー、キャベツ、長い葉っぱ付きのカブ!!
例えばキュウリのようなシュッとした形であれば、袋詰めは楽勝です。
でもブロッコリーとかキャベツさんは立体的でボコボコしているので、袋詰めがさあ大変。


木曜の夕方5時。明日が出荷日なのに全く終わりが見えない。

「ヒィィッー!野菜セットづくりが終わんないよー」と言いながら夜7時まで作業していたのでした。


冷蔵庫の中は、寒い。


夜7時。やっと全ての野菜セットづくりが終了。

そして迎えた金曜日。
出荷日です。
昨日袋詰めしてセッティングした野菜セットやその他商品を、朝からずーっと段ボールに箱詰めしています。
木曜日と金曜日は、小豆のことをすっかり忘れ去って通販部に没頭します。


金曜日は朝から夕方までずっとプレファブ冷蔵庫内で出荷作業です

今回のように、普通のスーパーなどでは見かけないようなワイルド育ちの野菜が入る時には、必ずイラストと手書きの説明でその状況説明や理由を、商品に同梱するおたよりに記載します。

見た目が荒ぶった野菜でも説明することで、その野菜の価値や素晴らしさがお客さんになるべく伝わるように、工夫して書いています。

『見た目がキレイで、虫の穴や折れ曲がっている葉っぱもなくて、大きさもちょうどいい』
スーパーでは、そんなジャッジで青梗菜を選んでいませんか?

でも本当に安心で美味しいのは、虫の穴がそこそこあって、色々な大きさや太さの青梗菜です。
旬の野菜は、みんなちがって、みんなイイ。
荒ぶれ青梗菜、バンザイ!
少しくらい食べられないところもあったって、気にしない。
それが無農薬野菜なんです。

虫の穴が全くなくてキレイな青梗菜は、農薬で虫を殺している可能性が高い。
大きさや形が揃っている青梗菜は、種自体に品種改良してある(F1種)。
もしくは虫の穴があったり規格外の大きさやカタチの青梗菜は、廃棄処分してフードロスをたくさん出しているか、のどちらか。

野菜のことがわかってくると、虫の穴がある荒くれモノな青梗菜を喜んで選んで買うようになりますよ。

かごしまんまでは、お客さんのところへ送れなかった野菜は、同じ鹿屋市内のスムージーショップ『ベジタブルショップトッキー』さんに連絡して引き取りに来て頂きます。


様々な理由ではじかれて出荷できなかった青梗菜は、スムージーショップへ。
段ボールにはキャベツとあるが、キャベツではなく青梗菜。

せっかく愛情込めて、農薬も化学肥料も使わずに育てられた青梗菜です。
全国のお客さん宛に送ることは叶わなかったけれども、同じ市内の人々が安全で美味しい青梗菜スムージを楽しめますように!
願いを込めて、今日トッキーさんにお渡ししました。

あと30分で、このクラファン挑戦もいよいよラスト4日となります。
応援してくださる皆さんのおかげで、ここまで来れました。
本当にありがとうございます。
ネクストゴール達成まで、諦めずに全力で頑張ります!

2024年 1月 26日 Blog | クラウドファンディング活動報告

【あと7日】選別の救世主降臨!

綺麗な小豆ができるまででは、小豆が収穫されてからいくつもの選別の工程があることを書きました。
かごしまんまスタッフだけでは手選別に限界が来ていました。
でも小豆の選別機はどれも数百万円から1千万円クラス。とても買えません。
再びクラファン挑戦するのも無謀な話です。

限界になりつつある小豆の選別問題に頭を抱えていると、小豆生産をしてくださっている窪田福祉会さんの施設長さんが、提案してくださいました。

「小豆の選別、うちの利用者さんにやってもらうのはいかがでしょうか」

窪田福祉会さんは同じ鹿屋市で【笑いの園】という就労継続支援B型事業所を運営されています。
身体に軽い障がいがある20歳以上の方を受け入れています。
みんなで楽しく簡単な作業をして手作りのお昼ご飯を食べてお給料も少し頂ける、そんな空間でした。
その利用者さんの作業として、小豆の選別をお願いしてみることになりました。

実際にやって頂くと、私たちかごしまんまスタッフよりもめちゃめちゃ早いんですよ。
40kgから50kgの量の小豆選別を数日で終わらせてしまいます。

そこで窪田福祉会さんの経営する【笑いの園】を取材してみることにしました。

笑いの園は、同じ鹿屋市内でも西の端っこで海の見える高台にありました。
すぐ近くには鹿屋体育大学があります。

海の向こうには薩摩半島と開聞岳がうっすらと見えてとても良い眺めでした


「利用者さんのランチに使用する野菜は、全てこの海の見える畑で無農薬で作っているんですよ」と教えてくださいました


笑いの園。売店やタルト工房、レストランも併設。

作業室に招かれて入室すると、なんと約20人の方々がいっせいにかのや姫小豆の選別をしているではありませんか!


たくさんの方々が、かのや姫小豆の選別をしてくださってました

昨晩の達成の感動で、涙腺がまだ緩い私に、この光景が飛び込んできたんですよ。
そりゃ、泣いちゃいましたよ!!

こんなにも多くの方々が、小豆計画に関わって頑張ってくれているんだ・・・。
たくさんの人の手を経て、綺麗な小豆になっていく。
選別が終わって綺麗になって納品された小豆からは、これを想像できなかった自分を恥じました。


「まず私がこの荒い目のザルで第一段階目の粒径選別するのよ」


「第一選別したものを。今度は私たちが目の細かいザルで第二選別するのよ」


第二次選別を通過した小豆を、丁寧に目と手で選別していきます


一つ一つ、丁寧に選別されていました

真剣に、でもなんだか楽しそうに作業されているのを見て感動しました。
利用者さんの中には、私の母と同じ『手術して股関節にボルトを入れている』という方が数人いらして、とても充実して楽しそうな顔をしていました。

(あまりに良い雰囲気だったので、いつも一人で家にいる私の母にも体験してもらいたくなり、帰り際にパンフレットをいただいてきて母に渡しました。母は早速電話して見学申し込みをしたようでした。)


施設長の窪田伸一さんとスタッフさん。お二人とも底抜けに優しくて明るい。

「障がいを持つ方は悩みを抱えていたり自分で車を運転して移動できなかったりする人が多いんです。この地に笑いの園を建てることを決めたのは利用者さんに、海を見ながら楽しい気持ちでここを利用していただきたいから。辺鄙な土地によく建てるね、と言われましたが、利用者さんが送迎バスでここに来て、少しでもリフレッシュしたり楽しんでもらえたら、と思ってここにしました」

想いを語ってくださった窪田さん。
とても良い表情をしていました。
スタッフの方々も利用者さんもみんなイキイキとしていて、とても居心地良い空間でした。

いつの間にか、小豆選別への悩みや新たな選別機が欲しいという気持ちや焦りは消え去っていました。
こういう就労支援施設などに選別作業をお願いするのも小さな地域経済活動になる、と思いました。

窪田さんの想いに触れて、小豆計画を見つめ返せました。

笑いの園の皆さん、今日はかけがえのない時間をほんとうにありがとうございました。
そしてこれからもどうぞよろしくお願いします!!

2024年 1月 24日 Blog | クラウドファンディング活動報告

エフエム鹿児島『あさCafe』に出演します!

連投お許しください。
本日の午前9時20分頃、エフエム鹿児島(ミューFM)の『あさCafe』に出演します!

先日、収録しに鹿児島市内のスタジオに行ってきました。

姫小豆の番組プレゼントもあるそうです!ぜひ聴いてください

私の住む鹿屋市から、鹿児島市内へ行くには、フェリーを使うことが多いです。
フェリーは鹿児島県民のいわば『電車』です。日常の交通手段です。

船内ではうどんコーナーもあり、これを食べるのが楽しみ。
乗船時間15分というタイトな時間の中で、いかに早くうどんコーナーに並んで、いかに優雅にうどんを食べるかが、乗客同士の真剣勝負でもあります。

鹿児島グルメといえばフェリーのうどんと答える鹿児島県民も多い。

同じ県内へ行くのに、フェリーに乗ってプチ旅行気分になれるのも鹿児島のいいところ。
桜島も、いつ見ても雄大で素晴らしいです。
鹿児島県人はみんな、桜島が大好き。


雄大な桜島と行き交うフェリー


こちらが着岸する時に、出港していくフェリー

フェリーから降りて、エフエム鹿児島収録スタジオまで15分ほど歩いて向かいます。
全く関係ないんですが、鹿児島市内には古い銀行建築や古い街並みが残っていて、私はそれを見るのが大好きです。
街並みに浸りながら歩きます。


鹿児島市内にある、古い銀行建築


古い銀行の建築は、細部の装飾が美しい


古き良き路地裏


鹿児島天文館アイムビル。ここで収録しました

スタジオに到着!
5分くらいの尺なのに、1時間くらいやってました。
できの悪いゲストですみません!

鹿児島の方、ぜひ聴いてください!
全国の方、ラジコでぜひ聴いてくださいネ。

#クラウドファンディング
#READYFOR

2024年 1月 23日 Blog | クラウドファンディング活動報告

【達成御礼】目標金額に達成しました!!

おかげさまで、目標金額を達成することができました!
ひとえに、応援してくださった皆さまおひとりおひとりのお力のおかげです!!!

今日は製餡やら雑用やらで忙しくてクラファンの様子がなかなか見れなかったのですが、複数方向からメッセージが届いて、達成したことを知りました。
連続してご支援をくださった方が、達成まで一気に押し上げてくださっていました。

それ見て、思わず涙が溢れ、そして止まらなくなってしまいました。
鼻は真っ赤に腫れて、目はもうジュビジョバで視界不良です。
思春期の息子が、ゴジュー過ぎたバ●アの号泣している顔を一瞬見てギョッとして顔を背けました。

息子にギョッとされた顔はどんな顔か自撮りしてみました。

閲覧注意です。

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

閲覧注意ですよ、
よござんすね?


ゴジュー過ぎたbabaaの泣き腫らした顔

・・・・・。

お目汚しして、すみません・・・。

こんなに感動し続けた日々は、かつての私の人生であったでしょうか(いや、ないでしょう)。
本当に本当にありがとうございます。
応援してくださっている皆様のおかげで、達成することができました。

残り8日間、短い期間ではございますが、ネクストゴールに向けてギアを上げて走り抜きます。
どうぞ引き続きの応援よろしくお願いします!!!
本当に本当にありがとうございます!

株式会社かごしまんま
山下理江

2024年 1月 23日 Blog | クラウドファンディング活動報告

【あと9日!】綺麗な小豆ができるまで

小豆は収穫してからたくさんの選別工程が待っています。
まず第一の選別は『水選別』です。

小豆はエナメル質の赤い表皮で覆われていて、吸水するのはヘソと言われる白い胚乳のところだけ。
少しくらい水につけても、その後に乾燥させれば問題ありません。
悪い小豆や鞘や茎などのゴミが水に浮く性質があります。
それを利用して水選別します。

まず収穫して脱穀。

カラッカラに枯れて乾燥した小豆を、茎ごと収穫します。


収穫した小豆は、豆っこで脱穀したり、


棒で叩いたりして脱穀します。脱穀は非常に大変な作業です。

脱穀した小豆をオケに溜めた水の中に入れザッと手で洗い、浮いてきたもの全てをザルですくって捨てます。



漬物樽に水を入れて、その中に小豆を入れます


浮いてきた小豆とゴミをザルですくって捨てます


水選別し終わった小豆

水選別した後の小豆は、丸一日から二日、天日乾燥させます。

水選別後の小豆を、ゴザに広げて天日乾燥させます

その後、生産者さんはかごしまんまに小豆を持ってきて、色彩選別機に1回かけてから小豆の重量を計量して納品します。


水選別した後の天日乾燥させた小豆を、生産者さんが色彩選別機に1回かけ、計量して納品となります

納品された小豆はその後さらに再び5回、色彩選別機にかけます。
そうしないと不良豆が取りきれないのです。

かごしまんまでさらに5回、色彩選別機にかけます

そして最終的には手選別します。


人間の目が、一番正確です

こうして、小豆は製品になっていきます。

数々の選別を通過してきた、綺麗な小豆

収穫された小豆はこのようにたくさんの選別を経て、製品化されます。

クラファン挑戦も残りあと9日となりました。
おかげさまでたくさんのご支援をいただき、達成まであと少しに迫ることができました。
ありがとうございます!!
引き続きの応援、どうぞよろしくお願いします。

2024年 1月 22日 Blog | クラウドファンディング活動報告

【あと10日!】自然のチカラ。旬のチカラ。

あと10日となりました!
おかげさまで、ここまでくることができました。
本当に本当に感謝します。
あとどこまでいけるか、とにかく頑張ってまいります。
引き続きの応援、どうぞよろしくお願いいたします!!

野菜食材通販かごしまんまを10年以上やってきて、実感から確信に変わったこと。
それは、自然のサイクルにしたがってつくられたものが一番美味しくてチカラがあるということです。

考えてみると、人間以外の全ての生き物は土地の旬のものしか食べません。
現代の人間だけが季節を無視した食生活です。
冬野菜のキャベツを、夏も好んで食べたりします。

しかし南国九州では夏の日差しや暑さがとんでもなくて、キャベツやニンジン・タマネギなどの冬野菜は溶けて育たず姿を消します。
創業当初の夏は、たくさんのお客さんから「キャベツやニンジンや大根が欲しい」と言われました。
でもどんなにたくさんリクエストをいただいても、夏の鹿児島でキャベツは手に入りません。

野菜セットには夏にはずっとゴーヤとオクラが入り続け、冬にはずっと大根とニンジンが入り続けます。

夏の野菜セット


冬の野菜セット

最初の頃はクレームの嵐でした。しかしないものはどうやってもありません。
旬の野菜の良さを説いたり旬の野菜レシピやメニューを紹介したりして、続けました。

すると2年くらい経った頃から、お客さんの反応も私や家族の体調も変わってきました。
季節の初めの野菜を食べると、身体が喜ぶ感覚がわかってきたのです。
そして医者へ行く頻度が減ってきたと感じるようになりました。
あまり体調を崩さなくなり、滅多に風邪をひかなくなりました。
同じように実感したお客さんからも感謝のお言葉を多くいただくようになってきました。
真夏にキャベツをリクエストされることもだんだんなくなっていきました。

この身体の変化は何なのだろうか?
旬とは何なのだろうか?
自然界の動物の行動サイクルと旬の恵みをまとめてみると、神様がくれる自然の偉大な予防医学だということがわかりました。
中国や韓国の古くからある言葉で、薬食同源という言葉がありますが、まさにそれです。

旬の初めのものを食べて感じる全身の喜びを、私は『旬スイッチ』と名づけました。
その季節に身体が待ちわびていたものだからこそ、めちゃくちゃ美味しいと感じるのです。
旬スイッチが入ると、身体はその季節に適応させようと色々シフトします。
それが本当の意味での『免疫力UP』ではないでしょうか。

例えば秋。厳しい冬を乗り越えねばならない動物は、秋には糖質やでんぷん質を身体に蓄積させます。
私たち人間も、秋に一番食欲が増進するのはそのためです。

自分の畑で採れた旬のものだけをずっと食べる、農家さんの多くはそういう食生活です。
だからあまり体調を崩さないのだろうな、と私は推測しています。

今の旬スイッチは、なんといっても春菊や金柑。
これらを食べると旬スイッチが身体に入るのを感じます。


本葛と金柑の甘露煮を溶いてつくる、金柑の葛湯


風邪をひきやすいこの時期は、柑橘類や金柑の葛湯を

少し苦いこれらを食べると、ちゃんと身体が春バージョンへとシフトして行動的になり、溜め込んでいた糖分や脂質を燃やそうとしてくれます。

逆に夏にキャベツを食べたら、身体は冬の旬スイッチを受け取ってしまうのではないでしょうか。
それは体調を崩す原因にじゅうぶんなり得ます。

私たち人間も自然のサイクルの一部。
他の動物たちと同じように旬のものだけ食べるほうが理にかないます。
旬の野菜だけを食べ続けてみてください。半年で全く違う身体になっていることを実感します。
そして旬のものを食べると全身で感じる喜びを、旬スイッチが入る瞬間を、ぜひ体感してください。

旬のチカラ、すごい。
自然のチカラ、偉大。

旬をずらすことができる改良品種の野菜よりもずっと、在来種があんなにも濃くて力強くて美味しいのは『旬のチカラ』があるからなのです。
在来種は旬や季節をずらせません。種まきを少しでもずらすと全く育ってくれません。
自然のチカラは本当にすごいですね。

在来種のこの小豆が『濃くて美味しい』『懐かしくて力強い味』とよく言われるのも、自然のサイクルにしたがって、この土地で育てるからだからこそだと確信しています。
この在来種小豆を、絶対に復活させたいです。
あなたからのあと一歩のご支援を、こころよりお願い申し上げます。

2024年 1月 21日 Blog | クラウドファンディング活動報告

【残り14日】目標達成まであと26万円です!

【鹿児島の地小豆を復活させて、地元農業とスイーツを盛り上げたい!】にご支援応援くださり、本当にありがとうございます。

クラウドファンディングも残り14日となりました
・・・と書いているうちに夜中の12時を迎えて残り13日となりました。

現在104人の方々からご支援をいただいております!
『感謝』という言葉では表しきれない感動の波が、毎日私を泣かせにかかってきます。
この日々を私は決して忘れたくありません。
ご支援・応援くださる皆さんおひとりおひとりのおかげで、ここまで走ってこられました。

ひっそりと繋がれていた在来種の小豆を、惜しげもなくまっすぐ教えてくださった瀬貫さん。
この瀬貫さんとの出会いが、
そして瀬貫さんの「私はこの小豆しかつくらない」という頑なな意思が、
この在来種小豆の種蒔き時期や栽培期や収穫期への頑固さが、
史上最大級の台風でもびくともしなかった生命力の強さが、
食べた瞬間の突き抜けるような、でもどこか懐かしい美味しさが、
その土地の風土に適応してたくましく生き抜いてきた在来種の、
とてつもない素晴らしさと尊さに気づかせて頂きました。

多くの在来種の種が絶滅の危機に瀕しているということ、そしてそれに突き動かされて活動している先輩や仲間が各地に存在するということも、この小豆復活プロジェクトを通してどんどん知って広がっていきました。

巨大多国籍企業の遺伝子組み換えやゲノム編集技術やF1種子が世界中の農業を飲み込もうとしているなかで、地域の消えゆく在来種を復活させて、その地域に再貢献する試み。
あなたのところのような零細企業が手を出すべき領域じゃないよ、とも言われたりしたこともあります。
その通りです。
だけどこのまま地域農業や地域商業が衰退していくのをみているよりも、地域農業と地域産業の未来をほんの少しワクワクする方向にシフトする貢献ができるなら、どんなに素敵なことでしょう。

計画の途中で、コロナ禍やウクライナ戦争や円安や物価高騰に巻き込まれて、通販の売上も史上最悪に激減して、融資の決済も数ヶ月止まって、いよいよもうダメかも・・・と諦めかけてどん底に沈んでいた去年の自分に、この今の状況はとても想像できませんでした。

たくさんの人の応援によって、決して越えられなかった壁を乗り越えることができる、それがクラファンだと頭ではわかっていても、いざ自分が挑戦するとそのことがいかに困難でいかに尊いことか身に沁みます。

ここまで応援してくださった皆さんに、心よりお礼申し上げます。
本当に本当にありがとうございます!!!
おかげさまでここまでこれました。ありがとうございます。

あと13日。お気持ちに応えるべく、頑張ります。

無遠慮なお願いで恐縮ですが、どうか皆さんのお力をもう少しだけお貸しください!
引き続きのご支援・応援と拡散を、どうぞお願い申し上げます。

株式会社かごしまんま
山下理江

2024年 1月 18日 Blog | クラウドファンディング活動報告

『まんまだより』からみる小豆計画の歴史(2023年)

(2023年1月前半号)
2022年は『ここ鹿児島で小豆を生産してあんこをつくろう!』という目標をただひたすら実行していった1年でした。
いつものように資金力ゼロからのスタートでしたので、まずは商工会や銀行や補助金関係に熱いアプローチをかけるところから始まり、企画書や経営計画書をつくり、計画を進めながら、補助金や融資申請を出し続けました。
計画はどんどん進んでいく一方で、各種補助金には落ちまくり銀行からの融資もなかなかうまく進まず、焦る日々。
あまりにずっと胃が痛むので胃カメラも飲みましたがいたって健康体・・・。

やっと補助金が通って銀行も融資に乗り気になってくれて順調に進んでいくと思いきや、今度はあらゆるものの値上げの大波に巻き込まれ、通販事業の売上も激減していく日々。

さらには建築する製餡所が各種法の規制により「浄化槽を大型にしろ」「排煙窓を設置しろ」等々、有難くご指導されて、急に高額な出費が続くという、胃と心臓に悪いことの連続でした。

しかし何もないところから新しいなにかを生み出すことはとても面白いです。
特に農業に関わるにあたって、まず心掛けたのは『来年もまた続けたくなる農業を』。

日本の農業は、機材は借金を重ねて購入し、人材は自分の家族と外国人実習生を使い、作物は市場で安く買い叩かれてしまうのが現状です。
重労働な上にリスクばかりで儲からない。
後継者は激減し、高齢化が進んでいます。
新しく小豆生産に挑戦し来年以降も続けて頂くには、専用機材はこちらで提供し、栽培については講習会や随時相談を受けて伴走し、そして買取り価格を市場よりかなり高くすることだと考えました。

資金ゼロの自分がこれらを実行するにはどうしても国からの補助金や銀行からの融資が必要だったので、無事に通った時は本当にホッとしました。

市報の広告欄で生産者募集をし、生産講習会を開催し、生産者グループLINEを開設して状況を報告し合い、収穫期に入った今は、購入した脱穀機が各生産者さんの畑をまわっています。
小豆の鞘の様子を語ったり脱穀機を借りにきたりする生産者さんの嬉しそうな顔を見ると、こちらもとても楽しい気分になります。

これからかごしまんま倉庫を改修して、2月には乾燥機と選別機と重量計を設置予定です。
生産者さんたちが代わる代わる来て、これらの機械を使ってピカピカの小豆にしてくださることでしょう。
5月にはおそらく製餡所も完成し、生産者さんたちがつくってくれた小豆でいよいよあんこ製造スタートです。

いまは「鹿児島で小豆?聞いたことないよ」という世間の常識。
これから数年かけて「鹿児島には、かのや姫小豆があるよね」という認識に変えていく。
それが今の私の夢であります。

続けたくなる農業を。
これを常に忘れずに。
農家さんへの感謝をいつも胸に。

(2023年9月後半号)
製餡所に全ての機械類がやっと揃いました。
いよいよ粒あんづくりのスタートです。
しかしかごしまんまは誰も本格的な製餡をしたことがありません。
10年ものあいだ野菜や食材と向き合ってきただけです。
大坂屋さんや製餡機械メーカーさんに製餡を多少教わりましたが、不安材料しかありません。

しかし初めて機械で製餡する前日。

たまたま鹿屋の小豆の歴史を知りたくて、1860年創業の老舗和菓子店の富久屋さんに勇気を出して聞きに行きました。すると店番していたおばあちゃんが快く小豆の歴史を教えてくださって、さらにはかのや姫小豆を復活させようとしていることをめちゃくちゃ喜んでくださって、なんとそこの社長さんが製餡指導してくださることになりました。
もー、ただただびっくりです。
だって初製餡の前日にですよ、老舗和菓子屋さんに飛び込んだら助けてくれることになった、なんてウルトラ奇跡ですよ。
まさに事実は小説よりも奇なりです。

翌日。
不安だらけだった初製餡は、一転して和菓子の師匠が降臨したギフトな時間に変わりました。
小豆を扱う手さばきも、餡練り機とピッタリ合う呼吸も、道具を大切にする作法も、師匠の一挙手一投足にただただ感動して、あっという間に50kg近くの粒あんができました。


師匠がいてくださって、本当に助かりました。
製餡そのものだけではなく、機械や道具類の洗い方やアリ退治の極意まで、惜しみなく教えてくださいました。
かごしまんまスタッフだけで製餡していたら、と思うとゾッとしました。
初心者にとってはそれほど大変な作業でした。

「どうしてこんなにも親切にしてくださるのですか。本来なら何年も厳しい修行を積むのが和菓子の世界だと思っていました。それをこんなにも惜しみなく教えてくださるなんてただただ感謝です」
とお礼を述べると、師匠はこう仰いました。
「だってこんな誰もやらないようなことを借金してチャレンジしようとしてるんだもの。鹿屋の小豆を復活させてうまくいけば鹿屋の地域おこしにもつながる大切なことだもの。応援するでしょ、そりゃ。教えられることは教えますよ僕は。また製餡する時には僕を呼んでくださいね。時間があるときは来ますから。頑張りましょう!」

製餡した次の日。
師匠もとい富久屋の社長から電話がかかってきました。
「ねえ昨日のあんこの売り先、決まっているの?決まってないのなら少し買い取るよ。
流通網が発達していなかった一昔前までは鹿屋はみんなこの小豆だったんだから。
美味しいってみんなわかるよ。
良い小豆だからお彼岸のおはぎ作るからさ。頑張って売ろうよ」

毎日のように私を涙ぐませる富久屋さんでした。

富久屋さんのおはぎ。
それはもう、最高に美味しいおはぎでした。
初製餡はこんな感じでとても記憶に残るものとなりました。

2024年 1月 16日 Blog | クラウドファンディング活動報告