『まんまだより』からみる小豆計画の歴史(2022年迄)

かごしまんま通販では、日々のことや食の安全・健康についてをテーマに色々書いたかごしまんまだよりを商品と一緒にずっとお届けしてきました。
ありがたいことに、ずっと大切にファイルしてくださっている人も多いまんまだより。
このまんまだよりの過去分から、小豆計画の歴史を抜粋して、文章はなるべく当時のまま加筆しないで掲載します。

(2021年7月前半号より)
毎年11月になると山奥のおばあちゃん2人がつくった小豆を全量買い取りしていたのが、去年はまさかの収穫ゼロ。

おばあちゃん2人で30kgもの小豆を生産して、完璧な選別までやっていたなんて、今更ながらズゴイ

もうまる1年手作りあんこを食べてません。
できたてのあの、あったかいあんこが恋しい・・・。

調べれば小豆の生産は北海道が93%を占めていますが、残りの7%は全国各地で栽培されており、鹿児島でも自家用程度に栽培している人はけっこういます。
しかも大豆の生産と同様に年々生産者数が減少しているようです。

きゅ、きゅうしゅうさんが食べたい・・・。
九州産の小豆で作った商品をお客さんに楽しんでもらいたい。
そこでチャレンジしてみることにしました!

実は2年前(2019年)にも一度そう思って、資金ゼロの私は鼻息を荒くつくったパワーポイント資料片手に商工会議所に相談に行きましたが、その時は笑われてしまいました。
「北海道産がブランドなのに、なんで鹿児島で小豆を作らにゃあかんの?別に北海道産でいいじゃない?ってなりますね」と。

でも先日、懲りずに商工会議所へ再び相談しに行きました。
すると今度は「面白そうですね!」と好反応。
商工会議所の担当者が変わったからかもしれません。

「とにかくスタートしたぞ!種買って生産者さんと取引先を探して、経営計画練っていこう!」と意気込んで銀行に相談した数日後には、もう農家の井之上さんがやってきました。
「役所から聞いたよ、小豆作りたいんだって!5セならつくるよ♪」
なんと狭い田舎!なんと頼もしいお言葉!・・・ん?『5セ』ってどんな単位ですか?!

さらに井之上さんが帰って5分後には、今度は銀行の担当者が「どうですか~、小豆の進捗情報は」と来ました。
すかさず私は即答ですよ、「生産者さんの目星もついてきました。5セは確保しましたから(ドヤッ)!」

5セとはどうやら150坪らしいです。
わあ広~い。すご~い。

どうか大雨とか台風が来ませんように。虫や細菌に攻撃されませんように。
どうせやるならあんこの中でも一番おいしい丹波大納言種を。
生産者さんが毎年安心して作り続けられるような買取価格を。
台風や大雨などの災害で収穫ゼロの年にも対応できる貯蔵庫を。
かごしまんまオリジナル原料でつくる美味しくて安心な製餡所も。
妄想がひろがってワクワクします。
おババもかごしまんま敷地内でつくってくれることになりました。(※おババ→我が母)

(2021年7月後半号より)
既に5人の生産者が決まり、約2反分くらい作付けすることになりました。

おババは丹波大納言種の小豆を7月9日に種まき

他の生産者さんもお盆までには種まきを終了します。

しかしまだ工房も製餡機も手に入れてません。
お金もありません。
さあ、どうする私!?

実は融資や補助金の類は、熱意や夢だけではなかなか銀行も国も自治体も動いてくれません。
なのでまず自分が実際に動いて、生産と製造と取引先の見込みをつくります。
これ、超プレッシャーなんですよ・・・。

このまま銀行がお金貸してくれなかったら、私は大量の小豆を抱えながら自己破産です。

もちろん怖いっす!
でもまあ『かごしまんま』の立ち上げ時に比べたら気持ちはかなり楽です。

創業当時の2011年は、取引先や売上見込みはおろかホームページもない状態で、自己資金ゼロで銀行に融資をお願いするというむちゃぶりでした。
しかもスマホがまだない田舎では、インターネット通販は全く理解されませんでした。

それに比べたら、いまは応援してくださるお客さんも取引先も生産者さんもたくさんいます。
さあこれから機械や建物の見積もりをとって、今後5年間の経営計画を立てて、商工会と銀行にお願いしに行きますよ~。

(2021年8月前半号より)
あちこちに相談しまくっていたら、ある日電話がかかってきました。
「自家消費用程度だが、ここ鹿屋で代々ずっと小豆を作っている方がいる。その方が小豆プロジェクトのために小豆を作ってもいいよと言ってくれている」

さっそく連絡を取りました。
私「ありがとうございます!お願いします。最高品種の丹波大納言の種をこちらで用意します」
生産者「それじゃ、嫌だ。つくらない」
私「へ?」
生産者「うちの小豆のほうが、大納言よりはるかにおいしいもん。うちの種でだったら作ってもいい」
私「(むむむ・・・予想外の展開だ。丹波大納言でそろえたかったが、小豆は各地に在来種がある品種。もしかしたら実際に丹波大納言よりも美味しいかもしれない。なによりこの人は鹿屋の貴重な小豆生産者。ここで破談になったらもったいない。ええい、ここはこの人の主張を受け入れて賭けてみよう!)
・・・わかりました、それでは今までの小豆でお願いします!」

※この生産者さんとの出会いが、小豆計画の歴史の大きな一歩となりました。
この年、丹波大納言チームはまさかの大敗退。
代々ずっと鹿屋の小豆でつくってきた生産者さんだけがいつも通りの収穫量を得たのでした。


代々ずっと繋いできた鹿屋の小豆を、例年通り収穫する

(2022年5月後半号より)
こちら鹿児島には小豆生産者さんが全くいないので、今月は市報の裏表紙の広告欄に【小豆生産者募集】広告を出しました。
なんせ、生産者さんが集まらないと始まらないこのプロジェクト。
頼む、生産者さん集まってくれ~!

同時進行で製餡所建築計画も進みます。
建築業界から離れて10年間ずっと野菜ばっかり見てきて、久しぶりに設計図面と格闘し脳みそが耳から流れ落ちそうです。
でもやはり建築は野菜よりも楽しいな~、なんて楽しみながらやっていきます。

(2022年7月前半号より)
鹿屋小豆プロジェクト第1回生産者説明会を6月29日に開催しました。
鹿屋市報の広告欄に2か月連続で『小豆生産者募集』広告を出したかいあって20組ほどの応募があり、盛況に終えることができました。
かごしまんま敷地内には、生産者さんから買取した小豆の貯蔵冷蔵庫と製餡所を建築予定です。

93%が北海道産という小豆の世界。
でもその残りの7パーセントの産地はほぼ全国各地に広がっています。

鹿屋産小豆のあんぱんやたい焼きが食べたいな~。
鹿屋のランドスケープをほんの少し、変えていければな~。

(2022年7月後半号より)
鹿屋小豆計画、圃場の土壌分析をするの巻。
土壌の地質分析をしようと思い、生産者さん20人ひとりひとりにメールを送りましたが返事なんて来やしません。
メールの数だけ再度ひとりひとりに電話をかけて説明をしました。
するとそのおひとりおひとりが土を持ってきてくださって、ありがたいことにそれぞれかごしまんまで話し込んで帰って行かれるので、全員完了する頃には私の声はすっかり枯れきって人相も変わっていたとかいないとか(ウソです)。
その後おひとりおひとりの土をジップロック袋に入れ直し、ラベルを作成してどうにかこうにか鹿屋市役所の閉庁時間ギリギリに滑り込みセーフし、農政課に土壌分析依頼しました。

(2022年11月前半号より)
畑を耕すトラクターの上空でトンビたちが舞飛び、稲刈りするコンバインの後ろからアオサギがついて歩いている季節です。

猛烈な台風14号通過後の小豆。
心配でしたが、さすが鹿屋で繋がれてきた在来種。
つる性に近い植物なので、しなやかに強風をやりすごせたようです。
来年からの生産者さんスカウト活動するうえでの大きな自信となりました。

ただ、海に近い畑の小豆だけは台風後に徐々に枯れていってしまいました。
台風の風が海水を巻き上げて畑へ降らせてしまったのでしょう。
農薬を使わずに丁寧に栽培していたので、生産者さんがとてもお気の毒でした。

塩害が出た畑以外の小豆は順調に育って、鞘をたくさんつけていよいよ最終段階に入りました。
今後は、鞘の実を成熟させてから1ヶ月以上かけてカラッカラに枯らして乾燥させてから刈り取りです。

私は今月9〜10日にかけて福岡で開催される『food style 九州』に出展し、この小豆をじゃんじゃん営業してまいります。

私の粒あん修業もスタートしました。

かごしまんまマドレーヌでおなじみの大坂屋さんに1日研修させて頂きました。

あんこ作りは1回につき4〜7時間ほどかかるので、体力勝負でもあります。
豆をよく見ろ、香りの変化をみろ、ヘソを取れ・・・色々言われてきましたがちんぷんかんぷんです。
なんにもわかっちゃいないので、とにかく回数をこなして経験と勘を積むしかありません。


自宅で何度も小豆を炊いた

『まんまだより』からわかる小豆計画の歴史(2023年以降)に続く・・・。

2024年 1月 15日 Blog | クラウドファンディング活動報告