ここくさん

クラファン挑戦直前の11月にあった『オーガニックフェスタかごしま』。
『おおすみ百姓の森』の一員として私は出店していました。

休憩時間にぐるっと会場内を見て回っていたときふと、『ここく』さんのブースに目が止まりました。
在来種の極小な大豆や麦を自然栽培でつくってそれを味噌などの加工品にしている、との説明を受けました。

「私も在来種の小豆の復活生産して粒あんつくってます!」と私が言うと、
店主の加藤さんはとても嬉しそうに「大変ですよねー、でもすごくいいですね!」と言ってくれました。

嬉しくて話し込んでいるうちに「実はクラファンに来月から挑戦するんです、不安で・・・」と気持ちを打ち明けたところ、加藤さんから驚きの返答が!!
「実はちょうど去年の12月、僕もクラファン挑戦しました」
えっ!?本当に?!どこで?いくら?
矢継ぎ早に質問してしまいました。

なんとレディーフォーでプロジェクト名『先人からの贈り物、古代からの貴重な大豆をこどもたちへ』で1,000万円のコンバインを買う挑戦をして見事達成したとのことでした。
https://readyfor.jp/projects/53490

「めちゃくちゃ大変ですが、絶対に達成できますよ。頑張って!!」と加藤さん。
私は瞬間、涙腺が緩んでしまいましたがキュッと締め直し、頑張って笑顔をつくって握手してもらい、元気と勇気をいただいて帰りました。

後日、加藤さんのプロジェクト概要とその活動報告の全てを読んでみました。
プロジェクトの内容と加藤さんのたどった歴史が、自分のしてきたことといくつも共通点があって、でも自分なんかよりずっと加藤さんは大変なことをしてきていて、それはそれは壮絶な日々なのでした。
自分のちっぽけさと俗物さに、ガーンと石で殴られたような気持ちになりました。

ここまでの覚悟が私にあっただろうか。
もっともっと、自分がしてきたことをわかりやすく伝わるようなプロジェクト概要にしなければいけない。
自分のプロジェクト概要のつくり込みがほぼ完成だったのですが、レディーフォーの担当さんにお願いして、公開日を遅らせて、大幅に変更修正しなおしました。

そして、近いうちここくさんを訪ねてみよう、と心に固く誓っていました。
とはいえうちも一年で一番忙しい12月。
なかなか行けない日々が続き、やっと今日実現できる!と思い、加藤さんに連絡したら「僕は今日は延岡です」とのお返事。

でもやっぱり行ってみたい。

リスペクトしている加藤さんに会えなくても、ここくのある土地や空気、そしてお店の商品やスタッフのお話、色々感じてなにか学んできたい、と思って行くことにしました。

ここ鹿児島県鹿屋市から、ここくさんのある宮崎県清武町まで車で片道3時間弱。
もうすぐ到着するというナビ、広がる風景はこんな感じでした。


昔から佇むような橋と緩やかに流れる川、遠くに見える山々


昔からあるような道路の両側に古い家が立ち並ぶ小さな集落に、ここくさんはありました

出迎えてくれた笑顔の素敵な女性に「小豆計画の山下です」と言うと、「ああ!!」と言って奥に向かって「あの小さい小豆の人が来たよ!」と叫んで、もう一人の女性を呼んでくださいました。オーガニックフェスタかごしまで加藤さんと一緒に店頭にいた女性でした。

お二人とも、笑顔が本当に素敵

とても素敵なお二人の笑顔だったので、この瞬間を写真で切り取って記録に残したいと思いました。
会ってすぐなのに、写真撮影をお願いしてしまいました。
お仕事を誇りに思って楽しんでいる、それが滲み出るような素敵な笑顔でした。


想いのこもった商品がたくさん

狭いながらもセンスある店内。さすがです。
(加藤さんはデザイナーでもあります)

たくさんお話を伺いました。


味噌づくり中でした

厨房も素敵な空間で、昔ながらの道具類を大切に飾ってあり、羨ましくなりました。

たくさんお話を聞かせていただきました。
抱えるご苦労や手繰り寄せられるご縁にも、たくさん共感しました。
大豆や麦の脱穀や選別もやはりとても大変だということ。
近所に船を持っている人がいた縁で、その船に乗って黒潮の流れる沖まで海水を汲みに行ってそれで塩をつくることまで可能になったこと。塩づくりに近所の方が携わってくれていること。
近所に創業80年の醸造所があった縁で、麹もつくることができたこと。
でも今年の秋まで雨が多かったために塩がたくさんつくれず、そのため味噌づくりにも影響が出てしまったこと。

その土地に昔から繋がれてきた在来種の種を分けていただき、その土地で自然栽培して収穫し、選別し、地元の人々との運命的な縁があって、協力があって、味噌や塩や醤油などの加工品になっていくその過程。

本当に素敵です。

加藤さんがここまでこだわって塩までつくるのなら、私も自分でサトウキビ生産からの粗糖作りを真剣に考えないといけないな、とも思ってしまいました。

この次は加藤さんのいらっしゃるときにまたきますね、と約束して気になる商品を全て買って帰りました。


ここくさんの商品は、どれも愛が滲み出ています。

買ってきた商品を改めて自宅で並べて見てみました。
ものの作り手がデザイナー自身だと、こんなにも作り手が伝えたいことが商品から滲み出てくるものなのか、とまざまざと実感させられました。

そしてちょっと舐めてみた塩にびっくりしました。


まるで雪のような、ここくさんの塩『沖の潮』

なんとこれまで食べてきたどの塩よりも、甘かったのです。
塩が甘い?びっくりして何度も舐めました。
こんなに柔らかくて甘くて、澄んだ旨みのある味わいの塩は初めての経験です。
あまりに美味しいので、何回も何回も舐めていました。
今も舐めながらこれを書いています。
何度舐めても甘みのある塩でした。

黒潮の流れる沖まで汲みに行った海水からつくった塩は、格別な味わいの特別な塩なのでした。

たくさんの学びと刺激を頂いた、ここくさん訪問でした。
ここくの皆さん、ありがとうございます。

2023年 12月 18日 Blog | クラウドファンディング活動報告