「・・・・生きものは生まれてから死ぬまで
自分ひとりだけの世界で生きているのではない
ほかの生きものと どうしても つきあっていかなければ
生きていけないのだ 生まれてから死ぬまで
ずうっとじゃ
花でも木でも虫でも魚でも みんなそれぞれ
どこかで結ばれ合って 生きておる・・・・
この『縁』は世界がつづくかぎり 切れないのだ」
手塚治虫【ブッダ第4巻】より
このクラファン挑戦も残すところあと2日となりました。
皆さんのたくさんの応援があって、ここまで来ることができました。
本当にありがとうございます!!
そこでどうしてもこのプロジェクトを応援してくださっている皆さんにお伝えしたいことがあって、でもなかなか難しくて書けなかったことを、後悔しないように、やっぱりここに書こうと思います。
難しい話ですが、なるべくやさしく書きました。
世界の、特に日本にいま差し迫っている危機のことなので、読んでいただければ幸いです。
タネについて詳しい記載がある書籍
今、世界中でタネが危機に瀕しているのをご存知でしょうか。
既に20世紀中に、農産物の種子の94%が消滅してしまったと言われています。
世界の種子市場を多国籍企業や大手種苗企業が独占しつつあるからです。
遺伝子組み換え種子やF1種子がこれらの企業に開発され始めてから、地球上の野菜のタネは絶滅の危機に瀕しています。
遺伝子組み換え種子は、グリホサートという成分が入った強力な枯葉剤にも枯れないように遺伝子を組み替えられた農産物の種子です。枯れないので栽培期間中たくさん枯葉剤をかけられ、収穫しやすいように収穫直前にもかけられます。ただし契約で生産者は種子を自家採取することを禁じられるので毎年タネを買い続けなければなりません(日本ではまだ商業的栽培は認可されていません)。
F1種子は性質が均一で優秀な野菜になるように改良された種子です。
しかしおしべが雄性不稔という奇形で、生産者は種子の自家採取ができないので、遺伝子組み換え種子と同様に毎年タネを買い続けねばなりません。
今やタネを支配すれば食を支配できる、とも言われています。
多国籍企業は、世界中の食の支配を確実に狙ってきています。
日本では、ほんの40年ほど前まで野菜の種子は国産100%伝統的な固定種でした。
しかしF1品種が出ると、あっという間に広まりました。
大きさや形や性質がバラバラに現れて育つ固定種(在来種)よりも、大きさや形や性質が均一に現れるF1種のほうが生産者にとってロスが少なく作業も軽減されて市場で売れやすいからです。
今では日本の野菜の大半がF1品種になってしまいました。
その90%がアメリカ、南米、インド、アフリカなど海外で生産された多国籍企業の種子です。
イチゴやメロンなど農産物によっては、種子の価格が1粒1円や2円だったものが今では1粒40円や50円と、およそ10倍の価格になってしまったものもたくさんあります。
いま世界中で何が起こっているかというと、遺伝子組み換え種子やF1種に頼るようになってしまった生産者が固定種の種を自家採取して繋ぐのをやめてしまったため、昔から繋がれてきた農産物の種子の9割以上が絶滅しかかっているということです。
そして遺伝子組み換え種子やF1種子がどんどん値上げされても、生産者はそれと農薬をセットで買い続けるしかない状況に追い込まれてしまった、という恐ろしい現実です。
これがどんなにヤバいことか、わかりますでしょうか。
2つの切迫した危機があります。
1点目はこのまま種子や農薬や化学肥料などの農業資材機材が高騰し続けると、離農が加速し食糧自給率がさらに低下して、私達は輸入野菜や果物しか食べられなくなること。
2点目は、日本の野菜の大半がF1でその種子の9割以上が外国産で食糧自給率も低いという状況は、世界情勢によっては日本に種子も輸入農産物も入らなくなって即国民が飢える状況に陥ることがあり得るということです。
日本でも戦前の農業は、ほぼ無農薬無化学肥料栽培でした。
生産者は地域の畜産業や農業から出たものから堆肥をつくっていました。
その年に栽培したものから翌年の分の種子を採取し、生産者同士でより良い種子を交換したりしました。
地域には地域のための種子屋も各地にあり、持続的な農業がされてきました。
第2次世界大戦後、急速に農薬や化学肥料を使用する農業が広まりました。
農薬や化学肥料は、戦争に使われた化学兵器を応用させたものだったからです。
『農業の近代化』というスローガンのもと、環境や健康は無視されてどんどん広まっていきました。
戦争が終わるたびに兵器は農業用に開発転用されてあっという間に席巻していきました。
グリホサートも、ベトナム戦争で使用されたあの悪名高き枯葉剤を応用したものです。
世界中のCMで『環境や人体に優しい』と虚偽を流し、農民の健康被害の訴訟で負け続けながら、まだ日本のホームセンターで『ラウンドアップ』という名で販売されているものです。
遺伝子組み換え植物もF1種子も性質が均一故に、農薬や化学肥料とセットで使わざるを得ません。
今では、日本の耕作面積における有機農業取組面積の割合はわずか0.2%となってしまいました。
人類は、自然のもたらす災害や他の生き物と戦いながら農業を営んできました。
20世紀に入ってからは化学の力で種子や野菜の状況をコントロールして、農業から他の生き物を排除する動きが顕著になってきました。
でも植物は、微生物によって強く生かされ、虫や鳥によって受粉をしてもらい、人や動物に食べてもらって自然界のサイクルの中の生命を全うするのが本来の姿です。
そうやって、その土地の色々な状況や環境や病気に生き残る個体や死にゆく個体とがあって、どのような環境変化や病原菌に対しても必ず何割かが生き残っていき、様々な性質や形状を持って太古の昔から繋がれてきたのが固定種(在来種)です。
いっぽうでF1や遺伝子組み換え種子は同一の性質や形状を表すように改良されたものですから、何かの環境原因や病気でダメになるときは一気に全滅してしまいます。
農薬や化学肥料を多用したりハウス栽培等で季節を無視したりする農業は、エネルギーも使い、環境に負荷をかけ、地球温暖化の一因になります。
世界中からミツバチがどんどん消えていってます。野菜以外の植物の受粉にも影響が出るのは必至で、生態系バランスが静かに崩れていきます。
このまま遺伝子組み換え植物とF1種子だけの農業で自然を破壊し、世界中の固定種の野菜のタネを消滅させてしまうことは、人類の最大の失敗になることでしょう。
いま、世界中でそう気づく人が増えています。
EUをはじめ中国もロシアも遺伝子組み換え食品はつくらない、という動きになりつつあります。
世界中が食料自給率のUPに力を入れています。
なのに日本は多国籍企業や大企業の意向を汲むかのように、種子法廃止や種苗法や食品表示法改定(改悪)の流れを止めません。酪農家が窮状を訴えたニュースが記憶に新しいように、国が農家を守ろうという動きもないに等しいです。
種子法廃止や種苗法や食品表示法の改悪は、全てセットの問題です。
超簡単に言うと、遺伝子組み換え添加物をもっと日本国民に食べさせちゃおう、という目的を持って法律を変えようとしているのです。陰謀論でもなんでもありません。
多国籍企業が他の国で何度もトライアンドエラーしてきて、今度は日本を狙っているというだけのことです。
他の国では日本と同じように法律を改定しては国民の大反対に遭い、撤回されていっています。
私達日本国民もこの問題をもっと知り、立ち上がって反対しないと取り返しのつかない状況に今あります。
既に多くの自治体が危機感を抱き、種子法に代わる条例を制定して地域の農業を守ろうとしています。
「でもこんどこそ」と火の鳥は思う。
「こんどこそ信じたい」
「こんどの人間こそ きっとどこかで まちがいに気がついて・・・・」
「生命を正しく 使ってくれるように なるだろう」
手塚治虫【火の鳥『未来編』】より (タネが危ない 野口勲著より抜粋)
『タネは皆んなのもの!』山田正彦氏直筆
「タネは命である。
タネは私たち1万年の人類の命をつないでくれた人類の遺産である(1983年FAO決議)
タネは誰のものでもない。みんなのもので大切にしなければならない。」
【タネはどうなる!?】山田正彦著より抜粋
【鹿児島の次小豆を復活させて、地元農業とスイーツを盛り上げたい!】
このクラファン挑戦はあと2日で終了します。
しかし皆さんおひとりおひとりのチカラのおかげで、小豆計画の挑戦はまだまだ続けることができます!
どんなに感謝してもしきれません。
固定種のタネを復活生産するこの小さな挑戦を、この先もどうぞ見守っていてください。
それが一番のチカラです。
いよいよあと2日。
最後までどうぞお力添えをお願いいたします!!